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前回の登板で1アウトも取れなかった投手が、勝者と敗者を分ける第5戦に先発!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイムソン・タイオン(ニューヨーク・ヤンキース)Oct 14, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ニューヨーク・ヤンキースとクリーブランド・ガーディアンズが対戦しているディビジョン・シリーズは、第5戦にすべてが決まる。勝ったチームが次のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズへ進み、負けたチームはオフを迎える。

 ここまで、第1戦はヤンキース、第2戦と第3戦はガーディアンズ、第4戦はヤンキースが勝利を収めた。ヤンキースの2勝は、どちらも、ゲリット・コールが先発投手として投げ、白星を挙げた。言い方を変えると、エース以外では勝てていない。

 10月17日に行われる第5戦の先発マウンドには、ジェイムソン・タイオン(ヤンキース)とアーロン・シバーレ(ガーディアンズ)が上がる予定だ。今シーズン、タイオンは先発32登板の177.1イニングで防御率3.91、シバーレは先発20登板の97.0イニングで防御率4.92を記録している。これらのスタッツからすると、ヤンキースのほうが有利に見える。

 また、タイオンは、4月22日の試合で、ガーディアンズに対して5イニングを投げ、7安打を喫しながら、フランミル・レイエスのホームランによる1点に抑えた。レイエスは、すでにガーディアンズにはいない。8月にロースターから外れ、ウェーバー経由でシカゴ・カブスへ移籍した。シバーレは、ヤンキースを相手に2度投げている。4月24日は、3イニングで6失点。7月2日のダブルヘッダー2試合目は、6イニングを投げ終えた時点で2失点ながら、7回表に連続被安打で無死一、二塁となったところで交代し、後続の投手が打たれ、4失点となった。

 ただ、タイオンは、ディビジョン・シリーズの第2戦で、同点の10回表に登板し――これがポストシーズン初出場となった――3人に対して投げ、1アウトも取れずに降板した。1人目と2人目、ホゼ・ラミレスの二塁打とオスカー・ゴンザレスのシングル・ヒットは、内野と外野の間に飛んだフライだが、ジョシュ・ネイヤーネイラーの二塁打は、センターの上を越えていった。

 一方、シバーレは、ポストシーズンのマウンドに上がったことがない。

 両チームの打線を比べると、レギュラーシーズンのスタッツは、ヤンキースが勝る。例えば、254本塁打、764打点、807得点は、いずれもガーディアンズより100以上も多い。ディビジョン・シリーズの4試合も、ホームランは、ヤンキースが7本、ガーディアンズは3本と開きがある。もっとも、打点と得点の差はほぼない。ヤンキースの15打点(得点)に対し、ガーディアンズは13打点(得点)だ。

 ブルペンは、「ニューヨークの雨はどっちの味方!? ガーディアンズ対ヤンキースのALDS第2戦は、翌日に順延」で書いたとおり、ガーディアンズが優れる。ディビジョン・シリーズの4試合は、先発投手が投げたイニングを除くと、ガーディアンズが15.1イニングで2失点、ヤンキースは12.2イニングで5失点となる。ガーディアンズのブルペンは、奪三振率が高い。

 そうなると、第5戦は、序盤に大きな点差がつかなければ、ガーディアンズが有利なようにも見える。ディビジョン・シリーズの4試合で、ヤンキースは、1~6イニングに14得点を挙げ、7イニング目以降は1得点しかない。ガーディアンズは、それぞれ、8得点と5得点だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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