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73本塁打のボンズが60本塁打のジャッジを勧誘!? FAになる今オフ、ジャイアンツへ来てほしいと発言

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)Sep 23, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、60本のホームランを打っている。1シーズンにそれよりも多くのホームランを記録した選手は、延べ7人。1961年に61本塁打のロジャー・マリス、1998年に70本塁打のマーク・マグワイアと66本塁打のサミー・ソーサ、1999年に65本塁打のマグワイアとソーサ、2001年に73本塁打のバリー・ボンズと61本塁打のソーサだ。

 ボンズは、自身が打ち立てたシーズン本塁打の最多記録を、ジャッジに塗り替えられてもいいと思っているらしい。スポーティコが掲載したバリー・M・ブルームの記事によると、ボンズは電話によるインタビューで「頑張ってほしい」「あのスウィングなら1日に1本打って俺(の記録)を追い抜ける。構わないさ。そうだろ?」と言ったという。

 けれども、そうなる可能性は低い。60本塁打に到達後、ジャッジは4試合続けてホームランを打っていない。ヤンキースのレギュラーシーズンは、残り11試合だ。ボンズの記録を上回るには、あと14本のホームランを必要とする。

 また、ボンズは、来シーズンから、ジャッジにサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーしてほしいと思っているようだ。「ウチと契約してほしいね。実現するかって? それはわからない。ヤンキースの年俸総額(の予算)によるだろう。でも、我々は来てほしいと思っている。そのことは言える」とコメントしたという。

 ボンズは、メジャーリーグ8年目の1993年から現役最終年の2007年まで、15シーズンにわたり、ジャイアンツでプレーした。その後、2016年はマイアミ・マーリンズで打撃コーチを務めたが、現在はスペシャル・アドバイザーとしてジャイアンツに籍を置いている。

 今オフ、ジャッジは、FAになる。ヤンキースとジャッジは、開幕前に契約延長の交渉を行っていたが、合意には至らなかった。それについては、4月に「ジャッジはヤンキースを去るのか。7年2億1350万ドルの申し出を却下。今シーズン終了後にFA」で書いた。

 ジャッジは、サンフランシスコ近郊で生まれ育った。ボンズが73本塁打を記録した時は、9歳だった。

 ついでに言えば、ジャッジは、6フィート7インチの長身だ。今から5年前、アビー・マストラッコがNJ.comに発表した記事のなかで、当時、ニューヨーク・メッツにいたマイケル・コンフォートは、ジャッジのことを「ジェントル・ジャイアント」と形容している。

 ただ、NBCスポーツ・ベイエリアのアレックス・パブロビッチらによると、少年時代のジャッジは、ジャイアンツを応援していたが、お気に入りの選手はボンズではなく、遊撃手のリッチ・オーリリアだったという。オーリリアは、1995~2003年と2007~09年にジャイアンツでプレーした。ベストシーズンは、2001年だろう。いずれも自己最多の、37本塁打、37二塁打、206安打を記録した。

リッチ・オーリリア(左)とバリー・ボンズ April 17, 2001
リッチ・オーリリア(左)とバリー・ボンズ April 17, 2001写真:ロイター/アフロ

 なお、ジャイアンツがホームとするオラクル・パークは、ホームランが出にくい球場だ。スタットキャストのパーク・ファクターによると、ここ3シーズンにおける右打者のホームランの指数は77。全30球場のなかで、2番目に低い。一方、ヤンキー・スタジアムの113は、フィラデルフィアのシチズンズバンク・パークと並び、上から7番目に位置する。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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