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大谷翔平とアーロン・ジャッジの2人が「MVPを同時受賞」の可能性はあるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Aug 27, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月20日を終え、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、打率.316、60本塁打、128打点を記録していて、3部門ともア・リーグのトップに立っている。三冠王になるかどうかはまだわからないが、本塁打王は間違いなく、打点王もかなり有力だ。リーグ2位とは、23本塁打と13打点の差がある。この他、123得点、93四球、85長打、372塁打、出塁率.419、長打率.703、ISO.388、8.8打数/本塁打、OPS1.122なども、リーグ・トップだ。

 ジャッジに比肩する選手は、打者としてだけでなく、投手としても好成績を残している、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)しか見当たらない。大谷は、ともに4位の34本塁打やOPS.891などに加え、投手として、5位の防御率2.43や1位の奪三振率11.92、4位のK/BB5.44などを記録している。

 今シーズンのア・リーグで、ジャッジでも大谷でもない選手がMVPを受賞することは、ありそうにない。ジャッジがMVPで大谷が2位か、大谷がMVPでジャッジが2位か、あるいは、2人揃って受賞する可能性もゼロではない。

 MVPの選考投票は、30人の記者によって行われ、各記者は1位から10位までの10選手を選ぶ。各順位のポイントは、以下のとおり。その合計ポイントの最も多い選手が、MVPとなる。1位票が最多でも、受賞できるとは限らない。

1位票=14ポイント

2位票=9ポイント

3位票=8ポイント

4位票=7ポイント

5位票=6ポイント

6位票=5ポイント

7位票=4ポイント

8位票=3ポイント

9位票=2ポイント

10位票=1ポイント

 複数の選手が最多ポイントで並ぶパターンは、いくつもある。例えば、ジャッジが30人から票を得て、1位票が16、2位票が3、3位票が11なら、合計339ポイントとなる。14ポイント×16=224ポイント、9ポイント×3=27ポイント、8ポイント×11=88ポイントで、224ポイント+27ポイント+88ポイント=339ポイントだ。一方、大谷も30人から票を得て、1位票が14、2位票が15、3位票が1だと、同じく合計339ポイント。こちらは、14ポイント×14=196ポイント、9ポイント×15=135ポイント、8ポイント×1=8ポイントで、196ポイント+135ポイント+8ポイントだ。他の選手、ヨーダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)かホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)あたりが、2位票×12、3位票×11、4位票×7でも、合計245ポイントなので、ジャッジと大谷を上回ることはない。

 ただ、1位票のすべてがジャッジか大谷、2位票も同様の場合、2人の合計ポイントが並ぶのは、どちらも1位票と2位票が15ずつ。このパターンだけだ。

筆者作成
筆者作成

 複数の選手がMVPを分け合ったことは、過去に1度ある。1979年のナ・リーグで、セントルイス・カーディナルスのキース・ヘルナンデスとピッツバーグ・パイレーツのウィリー・スタージェルが、合計216ポイントで並んだ。票の内訳は、こうだ。

スタージェル

1位票 10

2位票 3

3位票 4

4位票 1

6位票 2

ヘルナンデス

1位票 4

2位票 8

3位票 7

4位票 2

5位票 3

 投票者は24人、各順位のポイントは現在と同じ。スタージェルの1位票は誰よりも多かったが、4人の記者が、1~10位のいずれにもスタージェルを挙げなかった。ヘルナンデスは、全員から票を得た。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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