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異次元のハードボーラー。6イニングを投げ、投球の60%近くが「100マイル以上」

宇根夏樹ベースボール・ライター
ハンター・グリーン(シンシナティ・レッズ)Sep 17, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月17日のダブルヘッダー2試合目、ハンター・グリーン(シンシナティ・レッズ)は、セントルイス・カーディナルスを相手に6イニングを投げ、11三振を奪い、本塁も三塁も踏ませなかった。

 スタットキャストによると、グリーンの81球中、58.0%の47球が100マイル以上を記録した。2008年以降の「ピッチ・トラッキング・エラ」における、新記録だ。これまで、100マイル以上の1登板最多は、4月16日にグリーン自身が記録した39球だった。投球全体に占める100マイル以上の割合も、全投球が40球以上のなかでは、5ヵ月前の登板の48.8%(80球中39球)が最も高かった。

 1登板に100マイル以上が35球以上は、グリーンが他に2度、7月9日と26日に各38球を記録しているだけだ。30球以上も、昨年6月5日に33球のジェイコブ・デグローム(ニューヨーク・メッツ)しかいない。トップ5は、グリーン(47球)、グリーン(39球)、グリーン(38球)、グリーン(38球)、デグローム(33球)ということだ。

 1登板の全投球(40球以上)に占める100マイル以上の割合トップ5は、グリーン(58.0%)、グリーン(48.8%)、ジョエル・ズマイヤ(45.3%)、デグローム(38.8%)、デグローム(38.6%)となる。3位のズマイヤは、2009年7月3日にリリーフとして2.1イニングを投げ、53球中24球が100マイル以上を記録した。デグロームは、昨シーズンの2登板。6月5日が85球中33球、5月31日は70球中27球だ。

 ちなみに、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の100マイル以上は、昨年4月4日の9球と9.8%(92球中)が、1登板で最も多く、割合も高い。

 グリーンは、2017年のドラフト全体2位だ。今年4月にメジャーデビューした。ここまでの先発21登板は、奪三振率こそ11.43と高いが、防御率も4.97と高い。前者は高いほうがよく、後者は低いほうがいい。ただ、7月9日以降の5登板は防御率2.15。直近の2登板は、1ヵ月半の故障者リスト入りを挟み、どちらも6イニングを無失点に封じている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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