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トレード市場に新たな「エース」が登場!? 昨オフに2年4400万ドルの契約を交わしたばかりだが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
カルロス・ロドーン(サンフランシスコ・ジャイアンツ)Jul 9, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 数日前、シアトル・マリナーズは、シンシナティ・レッズからルイス・カスティーヨを獲得した。

 トレードが成立した時点では、この夏、カスティーヨとフランキー・モンタス(オークランド・アスレティックス)の2人を上回る先発投手は、手に入れられそうになかった。けれども、状況は変わったようだ。ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマンによると、サンフランシスコ・ジャイアンツは、ローガン・ウェブ以外の選手に関して、トレードの申し込みがあれば、話を聞くつもりでいるという。

 交換条件がよければ、主力を手放すということだ。7月を終え、51勝51敗のジャイアンツは、ワイルドカード・レースの5位に位置している。ポストシーズン進出となる、3位のフィラデルフィア・フィリーズとの差は4ゲームだ。微妙なところだが、トレード市場で売り手に回ってもおかしくない。オールスター・ブレイク後は、3勝8敗と負け越している。

 そして、ジャイアンツには、多くの球団が欲しがりそうな選手がいる。シャーマンも記しているが、カルロス・ロドーンがそうだ。

 昨シーズン、シカゴ・ホワイトソックスにいたロドーンは、132.2イニングを投げて防御率2.37を記録した。ジャイアンツへ移った今シーズンは、123.0イニングで防御率3.00だ。防御率だけでなく、他のスタッツも良好。8年前のドラフトで全体3位指名を受けたことからも窺えるとおり、資質は折り紙付きだ。故障は少なくないものの、今シーズンは一度も故障者リストに入っていない。

 昨オフ、FAになったロドーンは、ジャイアンツと2年4400万ドルの契約を交わした。もっと長期の大型契約を望んでいたと思われるが、故障歴がネックになったのだろう。その代わりと言うべきか、この契約には、以下のような条項がついている。今シーズン、ロドーンは110イニング以上を投げると、オフに契約を打ち切ることができる。すでに、イニングは超えた。ここまでのパフォーマンスと健康状態からすると、ロドーン(と代理人のスコット・ボラス)はオプト・アウトの権利を行使し、再びFA市場に出るはずだ。

 カスティーヨとモンタスがFAになるのは来オフなので、獲得すれば、来シーズンも保有できる。一方、ロドーンは数ヵ月のレンタルとなる。例えば、来シーズンのローテーションを構成する投手は足りているものの、現時点では故障者がいる球団などは、ロドーンのほうがニーズに合っている気がする。数球団が先発投手を手に入れようとしているため、実際には、モンタスとロドーンがそれぞれ在籍する、アスレティックスとジャイアンツのどちらにもアプローチするのだろうが、なかには、モンタスよりもロドーンを欲しがる球団もありそうだ。

 なお、カスティーヨのトレードについては、こちらで書いた。

「21年ぶりのポストシーズンへ向け、マリナーズが一番人気の先発投手を獲得する」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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