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15年4億4000万ドルの申し出を拒否!? 総額は史上最高のトラウトを上回るが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)Jul 13, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)と代理人のスコット・ボラスは、ナショナルズが申し出た15年4億4400万ドル4億4000万ドルの延長契約を拒否したという。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールが報じている。

 ソトは、23歳の外野手だ。2018年のメジャーデビューから昨シーズンまで、4年続けて出塁率.400以上とOPS.920以上を記録している。今シーズンは、出塁率.405とOPS.895だ(7月15日時点)。このまま、延長契約を交わさなかった場合、2024年のオフにFAとなる。

 昨オフ、ソトは、提示された13年3億5000万ドルの延長契約を断っている。また、Z101デジタルのヘクター・ゴメスによると、シーズンに入ってから、13年4億2500万ドルの契約を申し出られたという。ローゼンタールの記事のとおりだとすると、ソトはこちらも却下し、さらに、15年4億4400万ドル4億4000万ドルの申し出も拒否したことになる。

 これまでの経緯については、以下の記事で書いた。

「提示された「3億5000万ドル」の延長契約を断る。希望額は史上2人目の4億ドル!?」

「「4億2500万ドル」の契約を手にする日は近い!? 成立すれば史上2番目の総額」

 契約総額の史上トップ3は、マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)の12年4億2650万ドル、ムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)の12年3億6500万ドル、フランシスコ・リンドーア(ニューヨーク・メッツ)の10年3億4100万ドルだ。ソトが申し出られた契約は、断らなければ、13年3億5000万ドルが3位、13年4億2500万ドルが2位、15年4億4400万ドル4億4000万ドルは1位に位置していた。

 ただ、ソトが提示された契約の年平均額は、それぞれ、2692万ドル、3269万ドル、2933万ドルだ(総額÷契約年数。1000ドルの位を四捨五入)。これらは、年平均額の史上トップ5に入らない。最も高い3269万ドルが10位、直近の2933万ドルは20位となる。トラウトの年平均額は3554万ドル(3位)、ベッツは3042万ドル(17位)、リンドーアは3410万ドル(7位)だ。

 3人とも、契約を交わした時点の年齢は、20代後半だった。20代前半のソトが、4億ドル以上の総額に加え、年平均額も3500万ドル以上となる契約を望んでいても、不思議ではない。ちなみに、年平均額のトップ2は、マックス・シャーザー(メッツ)の4333万ドル(3年1億3000万ドル)とゲリット・コール(ニューヨーク・ヤンキース)の3600万ドル(9年3億2400万ドル)だ。

 ナショナルズは、2019年に球団初のワールドシリーズ進出&優勝を飾った後、2シーズン続けて負け越し、今シーズンは、100敗を超えるペースで黒星を積み重ねている。ナショナルズのオーナーは、球団売却を検討しているらしく、ソトを引き留めることで球団の価値を高めたいという意図もあるようだ。けれども、さらに上積みした契約を提示するかどうかは不明。方針を変え、この夏にも、ソトをトレードで放出するかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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