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約半世紀ぶりに「現役最年長」と「現役最年少」が同じ試合で打点を挙げる

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイケル・ハリス2世(アトランタ・ブレーブス)Jul 7, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月7日、アルバート・プーホルス(セントルイス・カーディナルス)は、7回表に代打として登場し、犠牲フライで三塁走者を生還させた。その裏、マイケル・ハリス2世(アトランタ・ブレーブス)は、シーズン6本目のホームランを打った。この時点で、スコアは1対1。試合は、カーディナルスが3対2で勝利を収めた。

 メジャーリーグ22年目のプーホルスは、1980年1月16日生まれの42歳。5月28日にデビューしたハリスは、2001年3月7日生まれの21歳。彼らは、現役最年長と現役最年少だ。リッチ・ヒル(ボストン・レッドソックス)とネルソン・クルーズ(ワシントン・ナショナルズ)も1980年生まれだが、それぞれの誕生日は3月11日と7月1日なので、プーホルスよりも少しだけ若い。ワンダー・フランコ(タンパベイ・レイズ)は、ハリスの6日前に生まれた。

 ESPNスタッツ&インフォとジ・アスレティックによると、プーホルスとハリスのように、現役最年長と現役最年少が同じ試合で打点を挙げたのは、1975年にミルウォーキー・ブルワーズでチームメイトだった、ハンク・アーロンロビン・ヨーント以来だという。今回は、47年ぶりということになる。前回は、プーホルスが生まれる前だ。

 当時、メジャーリーグ22年目のアーロンは41歳(1934年2月5日生まれ)、メジャーリーグ2年目のヨーントは19歳(1955年9月16日生まれ)だった。この年の開幕時点では、1933年11月17日生まれのオーランド・ペーニャが最年長ながら、5月5日にカリフォルニア・エンジェルスから解雇された。また、1975年にメジャーリーグでプレーした選手のうち、ジャック・クラークは1955年11月10日生まれなので、ヨーントより若いが、デビューしたのはこの年の9月12日だ。

 1975年5月5日から9月11日までの間に、アーロンとヨーントは、7試合で揃って打点を挙げた。ただ、同じ試合でホームランは記録していない。現役最年長と現役最年少が同じ試合でホームランを打ったことがあるのかどうかは不明だが、あったとしても、さらに昔ということになる。

 今シーズン、ブレーブスとカーディナルスは、8月26日~28日に再び対戦する。プーホルスもハリスも、それまでに移籍はしないはずだ。プーホルス以外の選手が現役最年長になることも、考えにくい。そうなるのは、プーホルスより年上の選手が、ここから出場した場合だけだ。年齢詐称が発覚するにしても、40歳前後の選手ということはないだろう。もっとも、ハリスより年下の選手がデビューし、ハリスが現役最年少ではなくなる可能性はある。

 なお、アーロンとヨーントは、どちらもMVPを受賞したことがあり、引退後には殿堂入りしている。プーホルスは、2005年と2008~09年にMVPを受賞。殿堂入りは間違いない。ハリスのキャリアは、始まったばかりだ。デビューから7月9日まで、センターとして40試合に出場し、打率.303(145打数44安打)と出塁率.336、OPS.867を記録している。長打は、ホームランが7本、三塁打が2本、二塁打は8本。6盗塁を決め、失敗は一度もない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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