Yahoo!ニュース

登板した試合で2本のホームランを打った投手たち。大谷翔平がそこに加われば、今世紀9人目

宇根夏樹ベースボール・ライター
マディソン・バムガーナー Apr 2, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 登板した試合で2本以上のホームランを打った投手は、延べ60人を超える。なかには、「単なる2本塁打」ではなかった投手もいる。

「ベーブ・ルースと大谷翔平の間に「シーズン二桁勝利&二桁本塁打」に迫った選手はいたのか」で紹介したウェス・フェレルは、1931~36年の6シーズンに5度、それを記録している。3度目の1934年8月22日は、8回裏の1本目でスコアを1対2から2対2とし、10回裏の2本目で試合を終わらせた。完投(10イニング)と同点本塁打とサヨナラ本塁打だ。

 1942年5月13日に登板したジム・トビンは、3打席続けてホームランを打った。1試合に3本のホームランを打った投手は、他には、1886年8月15日のガイ・ヘッカーしか見当たらない。

 1966年に2度のトニー・クロニンジャーは、その2度目の7月3日に、2本の満塁本塁打を打ち、さらに、シングル・ヒットで9打点目も挙げた。1試合に3本以上のグランドスラムは、野手も記録していない。1試合9打点は、投手の最多記録だ。1893年6月1日のハリー・ステイリーと並ぶ。打点が公式記録となったのは、1920年だ。

 1971年に2度のリック・ワイズは、その1度目の6月23日に、与四球1のノーヒッターを達成した。

 直近の10人は、以下のとおり。今世紀に入ってからは8人だ。

筆者作成
筆者作成

 2016年5月11日のノア・シンダーガード(当時ニューヨーク・メッツ/現ロサンゼルス・エンジェルス)は、前田健太(当時ロサンゼルス・ドジャース/現ミネソタ・ツインズ)から2本のホームランを打った。2007年8月18日のマイカ・オーウィングスは、バディ・カーライルから2本だ。カーライルは、その前後に日本プロ野球で投げた。2001~02年に阪神タイガースで31登板と、2010年に北海道日本ハム・ファイターズで7登板だ。

 2017年4月2日のマディソン・バムガーナー(当時サンフランシスコ・ジャイアンツ/現アリゾナ・ダイヤモンドバックス)は、開幕投手だった。開幕戦に2本以上のホームランを打った投手は、おそらく、バムガーナー以外にいない。1955~56年の2シーズンに1試合2本塁打を3度記録したドン・ニューカムは、その1度目の4月14日が、チームの開幕2試合目だった。

 バムガーナーの2本のうち、1本目はザック・グレインキー(当時ダイヤモンドバックス/現カンザスシティ・ロイヤルズ)からだ。グレインキーが2本のホームランを打った2019年4月2日――開幕戦ではないが、バムガーナーのちょうど2年後――は、バムガーナーも違う試合でホームランを1本記録している。

 なお、ベーブ・ルースも、登板した試合で2本のホームランを打ったことがある。1921年6月13日だ。ただ、投手として2本ではない。1本目は3回裏、2本目は7回裏。ルースは、6回表の途中に降板し、そこからはセンターを守った。これと同じようなパターンは、守備につくことはないだろうが、大谷翔平(エンジェルス)にも起こり得る。

 投手が打ったホームランの通算本数については、こちらで書いた。

「ナ・リーグのDH導入で「投手による最多本塁打」は不滅の記録に!? それとも大谷翔平が塗り替える!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事