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2人とも、同じ球団からトレードで移籍後に延長契約。8年1億6800万ドルと2年2500万ドルの差は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・チャップマン(左)とマット・オルソン Jul 11, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、オークランド・アスレティックスは、内野の両コーナーを守っていた2人のスラッガーを、立て続けにトレードで放出した。一塁手のマット・オルソンはアトランタ・ブレーブス、三塁手のマット・チャップマンはトロント・ブルージェイズへ移った。

 彼らは、どちらもドラフト1巡目に指名され、アスレティックスに入団した。オルソンは2012年の全体47位、チャップマンは2014年の全体25位だ。今シーズンの年齢(6月30日時点)は、28歳と29歳。トレードの時点では、ともにFAまであと2年だった。

 移籍の直後に、オルソンは8年1億6800万ドル(2022~29年)の延長契約を得た。同じく、チャップマンも延長契約を手にしたが、こちらは2年2500万ドル(2022~23年)だ。年平均額も、2100万ドルと1250万ドルなので、オルソンのほうが高い。オルソンがFAになるのは、2029年のシーズン終了後――2000万ドルの球団オプションを行使された場合は2030年のシーズン終了後――だが、チャップマンはこれまでと変わらない。今オフと来オフの年俸調停は回避したものの、2023年のシーズンが終わるとFAになる。

 2019年は、左打者のオルソンも右打者のチャップマンも、それぞれ36本のホームランを打った。守備はどちらも優れていて、2018~19年は2人揃ってゴールドグラブを受賞した。チャップマンは、昨シーズンも選出されている。

 ただ、直近2シーズン(2020~21年)のホームランは、53本と37本だ。チャップマンは、2020年の夏に腰を痛め、9月上旬にシーズンを終えた。昨シーズンは、オルソンと同じく150試合以上に出場したが、万全の状態ではなかったのか、オルソンの39本塁打に対し、27本塁打にとどまった。

 また、ブルージェイズには、遊撃と三塁を守る2人のプロスペクト、22歳のジョーダン・グローシャンズと20歳のオレルビス・マルティネスがいる。両ポジションのうち、遊撃はボー・ビシェットの定位置だ。さらに、ブルージェイズは、ここから数年の間に、ブラディミール・ゲレーロJr.やビシェットらと長期契約を交わすかどうかの判断に迫られる。そうするには、大枚が必要になる。

 一方、ブレーブスは、FAになった一塁手のフレディ・フリーマンとの再契約を見送り、4歳下のオルソンを手に入れた(「この選手ならファンも納得!? フランチャイズ・プレーヤーの定位置だった一塁を守るのは…」)。ブレーブスに次代の一塁手候補は見当たらず、ロナルド・アクーニャJr.とは、すでに8年1億ドル(2019~26年)の契約を交わしている。球団オプションを行使すると、ブレーブスは2028年までアクーニャJr.を保有できる。フリーマンは、6年1億6200万ドル(2022~27年)の契約でロサンゼルス・ドジャースに迎えられた。

 ただ、オルソンとチャップマンの契約に差がついたのは、あくまでも現時点の話だ。チャップマンも、パワーを再び発揮すれば、FAとなってからどの球団と契約するにせよ、攻守ともに秀でた三塁手として、大型契約を手にするに違いない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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