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日本でもプレーしたミューレンスが監督になる日は来るのか。ヤンキースの打撃コーチ補佐に就任

宇根夏樹ベースボール・ライター
フェリペ・アルー(左)とヘンスリー・ミューレンス MARCH 18, 2013(写真:ロイター/アフロ)

 ヘンスリー・ミューレンスが、ニューヨーク・ヤンキースのアシスタント打撃コーチに就任した。1994年の千葉ロッテ・マリーンズと1995~96年のヤクルト・スワローズで計77本のホームランを打った、あのミューレンだ。理由は不明ながら、当時の登録名は最後の「ス」が省かれていた。メジャーリーグでは、通算15本塁打。1989~93年にヤンキースで計159試合に出場し、1997年はモントリオール・エクスポズ、1998年はアリゾナ・ダイヤモンドバックスでプレーした。こちらの出場は、2チームで計23試合だった。

 今オフ、ヤンキースが新たなアシスタント打撃コーチを発表するのは、これが2度目だ。2ヵ月前にエリック・チャベスケーシー・ダイクスの2人が就任したが、彼らのうち、チャベスはヤンキースを去り、ニューヨーク・メッツの打撃コーチになった。この動きについては、1月に「先月就任の打撃コーチ補佐が、早くも球団を去り、別の球団の打撃コーチになる」で書いた。

 ミューレンスのコーチ歴は、短くない。メジャーリーグに限っても、10年以上にわたる。2010~17年はサンフランシスコ・ジャイアンツの打撃コーチ、2018~19年はジャイアンツのベンチ・コーチ、2020年はメッツのベンチ・コーチだ。また、1999年から2002年まで、独立リーグ、メキシカン・リーグ、韓国プロ野球でプレーした後、2003~09年はマイナーリーグの数チームで打撃コーチを務めた。

 2017年のオフには、現ヤンキース監督のアーロン・ブーンとともに、監督候補の最後の2人に残った。他に、シンシナティ・レッズ、ミネソタ・ツインズ、デトロイト・タイガースの監督候補としても、名前が浮上したことがある。2019年のオフは、シーズン前から引退を表明していたジャイアンツの監督、ブルース・ボウチーの後任になってもおかしくなかった。だが、フィラデルフィア・フィリーズで監督を務めていて、解任されたゲーブ・キャプラーが、ジャイアンツの指揮を執ることに決まった。ちなみに、キャプラーも日本プロ野球の経験者だ。2005年に、読売ジャイアンツで38試合に出場した。

 ここまでのミューレンスの監督歴は、WBCなどのオランダ代表だけだ。ミューレンスは、キュラソーで生まれ育った。

 コーチを長く務めても、監督になるとは限らない。もっとも、6月に誕生日を迎えても、ミューレンスは55歳だ。決して早くないとはいえ、監督として采配を振るのに遅すぎる年齢ではない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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