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カーショウやシャーザーと同じ、16年前のドラフト1巡目が引退。通算本塁打は54本

宇根夏樹ベースボール・ライター
トラビス・スナイダー April 19, 2010(写真:ロイター/アフロ)

 トラビス・スナイダーが、インスタグラムで引退を表明した。

 かつて、スナイダーは、トップ・プロスペクトだった。2006年のドラフト順位は全体14位。彼の前に指名された高校生の野手は、1人しかいなかった。プロ入りから数年は順調に歩み、2009年の開幕前のプロスペクト・ランキングで、ベースボール・アメリカは全体6位、ベースボール・プロスペクトは全体5位に、スナイダーを挙げた。トロント・ブルージェイズの中心打者になる、と目されていた。

 だが、スナイダーがメジャーリーグでプレーしたのは、2015年が最後だ。通算8シーズン(2008~15年)の成績は、打率.244と出塁率.311、54本塁打、OPS.709。2021年は、アトランタ・ブレーブス傘下のAAAで63試合に出場し、打率.174と出塁率.305、4本塁打、OPS.610に終わった。2018年は、独立リーグでプレーした。

 スナイダーと同じく、2006年のドラフトで1巡目に指名され、プロ入りした選手のなかには、大投手が2人いる。クレイトン・カーショウマックス・シャーザー(現ニューヨーク・メッツ)は、どちらも、サイ・ヤング賞を3度受賞している。指名順位は、カーショウが全体7位(ロサンゼルス・ドジャース)、シャーザーは全体11位(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)。シャーザーの直前にサンフランシスコ・ジャイアンツから指名されたティム・リンスカムも、2008年から2年続けてサイ・ヤング賞を手にした。

 この3人以外にも、通算100勝以上はあと1人。全体21位でニューヨーク・ヤンキースに指名されたイアン・ケネディが、2019年以降はリリーフとして投げているものの、昨年9月21日に100勝目を挙げた。

 一方、2006年のドラフト1巡目のうち、100本以上のホームランを打った選手は、317本のエバン・ロンゴリア(現ジャイアンツ)しかいない。今後、この人数が増えることはないだろう。

 ロンゴリアの指名順位は、全体3位(タンパベイ・レイズ)だった。その前の2人は、どちらも右投手。カンザスシティ・ロイヤルズはルーク・ホッチェイバー、コロラド・ロッキーズはグレッグ・レイノルズを指名した。レイノルズは、2014年に埼玉西武ライオンズで12試合に先発し、3勝7敗、防御率5.46を記録した。

 もっとも、2巡目以降には、通算100本塁打以上が、5人いる。指名順位の高いほうから、5巡目・全体148位(テキサス・レンジャーズ)のクリス・デービス――ファーストネームのイニシャルはC――が295本、7巡目・全体204位(シンシナティ・レッズ)のジャスティン・ターナー(現ドジャース)が151本、9巡目・全体273位(サンディエゴ・パドレス)のデビッド・フリーズが113本、13巡目・全体394位(メッツ)のダニエル・マーフィーが138本、17巡目・全体523位(ボストン・レッドソックス)のジョシュ・レディックは146本だ。この年の指名を断り、後年のドラフトでプロ入りした選手は含めていない。

 彼らのうち、純粋なパワー・ヒッターは、本塁打王2度のデービスだけだ。だが、フリーズは、2011年のワールドシリーズで「伝説の人」となった(それについては「ポストシーズンのホームランを4チームで打った選手のうち、ワールドシリーズ優勝を経験していないのは…」で触れている)、マーフィーは、「どこまで続く「ダニエル・マーフィー祭り」。ポストシーズン新記録の6試合連続ホームランだけじゃない!!」で書いたとおり、2015年のポストシーズンで打ちまくった。

 また、2021年にパドレスでプレーしたトミー・ファムも、彼らと同じ年のドラフトで指名され、プロ入りした。16巡目・全体496位(セントルイス・カーディナルス)だ。2022年の球団はまだ決まっていないが、通算100本塁打まであと3本に迫っている。

 スナイダーとファムは、年齢も同じだ。スナイダーは2月、ファムは3月に34歳となる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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