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福岡ソフトバンクのガルビスに近い遊撃手はあのイグレシアス!? 今年のOPSは.709と.701

宇根夏樹ベースボール・ライター
フレディ・ガルビス Sep 3, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 フレディ・ガルビスが、福岡ソフトバンク・ホークスに入団した。MLBネットワークのジョン・ヘイマンらによると、2年契約だという。

 今オフのFA市場には、5人の大物遊撃手が揃った。コリー・シーガーカルロス・コレイアトレバー・ストーリーハビア・バイエズマーカス・シミエンだ。今シーズン、シミエンはトロント・ブルージェイズで二塁を守ったが、その前の6シーズンは、オークランド・アスレティックスの遊撃手だった。

 彼らのうち、3人はすでに新たな契約を手にしている。シーガーはテキサス・レンジャーズと10年3億2500万ドル、バイエズはデトロイト・タイガースと6年1億4000万ドル、シミエンはレンジャーズと7年1億7500万ドルの契約を交わした。シーガーとチームメイトになったシミエンは、遊撃には戻らず、来シーズン以降も二塁を守ることになりそうだ。

 FA市場に出た、彼らに次ぐ遊撃手は、ガルビス、ホゼ・イグレシアスアンドレルトン・シモンズの3人だろう。いずれも、レギュラーとして遊撃を守った実績を持つ。ただ、この5人と3人の打撃には、明らかな差がある。例えば、5人のOPSは、直近3シーズン(2019~21年)が.785以上、今シーズンは.801以上だ。それに対し、3人は.745未満と.710未満。これでは、守備がよくても、ポストシーズン進出をめざすコンテンダーのレギュラーとしては物足りない。

筆者作成
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 ちなみに、ガルビスの打撃成績は、イグレシアスと近い。出塁率は――どちらも低い四球率ではなく、打率の違いによって――イグレシアスが上回り、パワーはガルビスが勝る。とはいえ、ガルビスがパワー・ヒッターということではない。シーズン本塁打は、最多の2019年でも23本だ。この本数は、両リーグ・トップ50どころか、トップ80にも入らなかった。シモンズは、2017~18年に2シーズン続けてOPS.750以上を記録したのが、ピークだ。

 また、来シーズン(2022年6月30日時点)の年齢は、5人のうち4人が20代で、シミエンは31歳だ。一方、ガルビス、イグレシアス、シモンズの3人は、いずれも32歳。現時点で31歳のイグレシアスも、年明け早々に誕生日を迎える。

 3人とも、マイナーリーグ契約ではなく、メジャーリーグ契約を手にすることはできる(できた)だろうが、その役割は、コンテンダーのチームなら控え、再建中のチームであれば若手が台頭するまでの「つなぎ」になりそうだ。どちらにしても、単年契約となる可能性が高い。ガルビスがメジャーリーグを去り、日本プロ野球でプレーすることにしたのは、他にもFAの遊撃手がいることや、ロックアウト後の各球団の動きが不透明であることも理由だと思われるが、報道のとおりだとすれば、2年契約が大きな決め手になったような気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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