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50試合で72三振の外野手はシーズン記録を塗り替えるのか。最多はレイノルズの223三振

宇根夏樹ベースボール・ライター
ウィル・ベンソン(シンシナティ・レッズ)May 8, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、ウィル・ベンソン(シンシナティ・レッズ)は、両リーグ最多の72三振を喫している。

 2番目に多いのは、69三振のカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)とオニール・クルーズ(ピッツバーグ・パイレーツ)なので、それほどの差はない。だが、ベンソンの三振率は39.6%だ。チームの試合数×3.1打席以上の159人のなかで、三振率が36%以上の選手は、ベンソンしかいない。

 レッズは、5月23日に50試合目を終えた。ベンソンは、そのうちの48試合に出場している。50試合で72三振=1試合平均1.44三振を、シーズン全体の162試合に換算すると、233.3三振となる。2009年にマーク・レイノルズが喫した、歴代最多の223三振を上回る。

 もっとも、三振のペースがそのままでも、ベンソンが新記録を打ち立てるかどうかは、まだわからない。15年前のレイノルズは、三振こそ多かったものの、44本のホームランを打ち、打率.260と出塁率.349、OPS.892を記録した。三振率は33.7%だった。一方、ここまでのベンソンは、打率.188と出塁率.286、6本塁打、OPS.661だ。

 今シーズンの先発出場は、センターが21試合、ライトが14試合、レフトが8試合に、DHが1試合。基本的には、外野のレギュラーとしてプレーしているが、ベンソンのマイナーリーグ・オプションは、まだ残っている。レッズは、他球団に獲得されるかもしれないウェーバー公示を経ることなく、ベンソンをマイナーリーグへ降格させることができる。

 来月初旬には、TJ・フリードルが復帰する見込みだ。その時点でも、調子が上がっていなければ、ベンソンは降格となるかもしれない。

 フリードルは、3月16日にダイビング・キャッチを試みた際に、右手首を骨折した。1ヵ月以上も出遅れた後、今月7日に開幕を迎えたものの、出場6試合目に死球を受け、今度は左手の親指骨折に見舞われた。フリードルもベンソンも、センターを守る左打者だ。昨シーズン、フリードルは、138試合の556打席で打率.279と出塁率.352、18本塁打と27盗塁、OPS.819を記録した。

 ベンソンは、今シーズンがメジャーリーグ3年目だ。2016年のドラフトで、クリーブランド・ガーディアンズから全体14位指名を受け、2022年の夏にメジャーデビュー。昨春のトレードで、ガーディアンズからレッズへ移籍した。昨シーズンは、109試合の329打席で打率.275と出塁率.365、11本塁打と19盗塁、OPS.863。三振率は31.3%だった。

 選球眼に欠けるフリー・スウィンガー、というわけでもない。昨シーズンの四球率は12.2%、今シーズンは11.5%だ。ただ、振ったバットは、ボールに当たらず、空を斬ることが多い。

 なお、シーズン200三振以上は、これまでに延べ19人が記録している。

筆者作成
筆者作成

 チームの試合数と三振数からすると、69三振のシュワーバーとクルーズは、シーズン全体で219.2三振となる。他には、66三振のポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カーディナルス)、67三振のエリー・デラクルーズ(レッズ)、62三振のエジキール・トーバー(コロラド・ロッキーズ)、63三振のマイケル・ブッシュ(シカゴ・カブス)も、200三振以上のペース。また、64三振のテオスカー・ヘルナンデス(ロサンゼルス・ドジャース)は、シーズン全体でほぼ200三振、199.4三振のペースだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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