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対照的なワールドシリーズの両監督。在籍は8球団と1球団。後者は在籍45年目

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライアン・スニッカー(アトランタ・ブレーブス)Oct 17, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今年のワールドシリーズは、ダスティ・ベイカー(ヒューストン・アストロズ)とブライアン・スニッカー(アトランタ・ブレーブス)の両監督が采配を振っている。

 2人のキャリアは、かなり対照的だ。ベイカーは外野手としてメジャーリーグで20年近くプレーし、オールスター・ゲームにも2度選ばれた。捕手だったスニッカーは、マイナーリーグで4年を過ごし、メジャーデビューすることなく引退した。

 また、ベイカーは8球団に在籍している。選手時代に4球団、コーチ時代に1球団、監督時代に5球団。いずれも、サンフランシスコ・ジャイアンツが共通する。それに対し、スニッカーはブレーブス一筋。今年が在籍45年目だ。

 ベイカーの在籍球団には、ブレーブスも含まれている。だが、スニッカーと時期は重なっていない。ベイカーは、1967年のドラフトで26巡目・全体504位に指名され、1975年のオフにトレードでロサンゼルス・ドジャースへ移るまで、ブレーブスに在籍した。スニッカーがブレーブスに入団したのは、1977年だ。前年のドラフトで、シカゴ・カブスから25巡目・全体574位に指名されたものの、この時は大学に残り、その翌年にブレーブスと契約した。

 ベイカーとスニッカーの「監督対決」よりも、このワールドシリーズで注目を集めているのは、スニッカー家の「親子対決」だろう。スニッカーの息子の一人、トロイは、アストロズに2人いる打撃コーチの一人だ。「このワールドシリーズなら、どっちが勝っても優勝リングをゲット。レイズ対ドジャースの場合は筒香も!?」で書いた対戦カードは、いずれも実現しなかったが、スニッカー親子のうち、どちらかはワールドチャンピオン・リングを手にする。

 選手同士による、ワールドシリーズの「兄弟対決」は3組を数える。1920年のドクジミー・ジョンソン(クリーブランド・インディアンズ対ブルックリン・ロビンズ)、1921~23年のアイリッシュボブ・ミューゼル(ニューヨーク・ジャイアンツ対ニューヨーク・ヤンキース)、1964年のケンクリート・ボイヤー(セントルイス・カーディナルス対ヤンキース)がそうだ(表記は、兄&弟の順)。この計5シリーズ中、1923年以外の4シリーズは、兄のいるチームが優勝した。

 ただ、ワールドシリーズの「親子対決」は、スニッカー親子の前にもあったのかどうか、調べた限りでは見つからなかった(ご存じであれば、教えてください)。1983年のワールドシリーズには、カル・リプケンJr.が出場し、カル・リプケンSr.は三塁コーチを務めたが、どちらもボルティモア・オリオールズにいたので、対決ではない。彼らは、親子揃って優勝を味わった。

トロイ・スニッカー(ヒューストン・アストロズ)Oct 26, 2021
トロイ・スニッカー(ヒューストン・アストロズ)Oct 26, 2021写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 打撃コーチのスニッカーも、父と同じく捕手だった。2011年のドラフトで19巡目・全体596位に指名され、ブレーブスに入団。こちらも、メジャーデビューはできなかった。ベイカーの息子、ダレンは、今年のドラフトでワシントン・ナショナルズから10巡目・全体293位に指名され、プロ入りしている。父と違い、息子は二塁手だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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