Yahoo!ニュース

負けたほうがポストシーズン敗退の試合でオープナー!? シーズン20勝の左腕が中4日で投げられるのに…

宇根夏樹ベースボール・ライター
コリー・クネイブル(ロサンゼルス・ドジャース)Sep 3, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、ディビジョン・シリーズ第5戦の先発マウンドに、リリーフ投手のコリー・クネイブルを立たせる。

 ここまでのシリーズは、ドジャースとサンフランシスコ・ジャイアンツが2勝ずつ。第5戦に勝ったチームがリーグ・チャンピオンシップ・シリーズへ進み、負けたチームはポストシーズン敗退となる。

 第1戦から第4戦までのドジャースの先発投手は、10月8日の第1戦がウォーカー・ビューラー、9日の第2戦がフリオ・ウリーアス、11日の第3戦がマックス・シャーザー、12日の第4戦はビューラーだった。第5戦は14日なので、ウリーアスは中4日で登板できる。メジャーリーグでは、通常の登板間隔だ。

 今シーズン、ウリーアスは両リーグ最多の20勝(3敗)を挙げた。最後の黒星は6月21日だ。8月以降、ドジャースはウリーアスが登板したレギュラーシーズンの11試合とも、勝利を収めた(ウリーアスは8勝)。また、リーグ7位の防御率2.96は、後半戦に限ると2.04まで下がる。このシリーズの第2戦は、5イニングを投げて1失点にとどめ、こちらも白星を手にした。

 オープナーの理由は、ジャイアンツのラインナップにあるのではないか。レギュラーシーズンに、チーム・トップの29本塁打とOPS.975を記録したブランドン・ベルトは、9月26日に死球を受け、左手の親指を骨折した。ジャイアンツがリーグ・チャンピオンシップ・シリーズへ進んでも、そこで復帰できるかどうかは、まだわからない。加えて、このシリーズの4試合中3試合に1番打者として出場したトミー・ラステラは、左のアキレス腱の具合がよくない。

 ベルトとラステラは、どちらも左打者だ。彼らを欠き、右打者が多くなる打線に対し、左投手のウリーアスではなく、右投手のクネイブルをオープナーとして起用し、最初の1~2イニングを抑えるというシナリオを描いたのだろう。

 昨シーズンまでのクネイブルは、239登板のいずれも、リリーフとして投げた。だが、ドジャースへ移った今シーズンは、27登板中4試合が先発だ。計5.2イニングで1失点。3度目の先発登板(9月3日)は、ジャイアンツを相手にシーズン最長(キャリア最長タイ)の2イニングを投げ、得点は許さなかった。

 ただ、ラステラは欠場せず、第5戦も1番打者を務める。もし、ウリーアスが相手であれば、第2戦のように、スタメンから外れていた可能性が高い。ジャイアンツのラインナップは、左-右-右-左-右-左-右-右-右(投手)と並ぶ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事