ボストン・レッドソックスの選手のなかで、9月の打率と出塁率が最も高いのは、ホゼ・イグレシアスだ。9試合に出場し、打率.450(20打数9安打)と出塁率.500を記録している。

 9月3日、イグレシアスはロサンゼルス・エンジェルスに解雇された。ムードメーカーとしてはともかく、「エンジェルスが遊撃手のイグレシアスを解雇。どうせなら、8月中にそうしてほしかった!?」で書いたとおり、成績は攻守とも芳しくなかった。この記事では、ここからどこにも入団できないまま、オフを迎えるかもしれない、と予想した。けれども、そうはならなかった。解雇から3日後、イグレシアスはレッドソックスに入団した。

 レッドソックスがイグレシアスを必要としたのは、新型コロナウイルスの感染者が続出したためだ。代わりを補充するだけなら、傘下のマイナーリーグから選手を昇格させることもできる。ただ、レッドソックスはワイルドカード・レースの真っ只中にいた。9月5日を終え、ポストシーズン進出圏内の2番手に位置していたものの、3番手との差は3ゲームしかなかった。未知数の若手よりも、計算できるベテランということだろう。

 9月6日の試合で、8回表から遊撃の守備についたイグレシアスは、10回裏に回ってきた打席にヒットを打ち、打点を挙げた。また、12日以降は4試合中3試合で2安打を記録している(他の1試合も1安打)。会心の当たりばかりではなく、すべてが勝利につながっているわけでもないが、遊撃と二塁を守りながら、ここまでは期待以上の働きをしている。

 レッドソックスがポストシーズンへ進んでも、8月末を過ぎてから入団したイグレシアスは出場できないが、そうなった場合は、チームの危機を救った選手として称えられるだろう。レッドソックスがポストシーズンで勝ち進み、ワールドシリーズ優勝を飾れば、「再び」と形容されるかもしれない。8年前の夏まで、イグレシアスはレッドソックスにいた。レッドソックスが三角トレードでシカゴ・ホワイトソックスからジェイク・ピービーを獲得した際に、デトロイト・タイガースへ放出された。この年、レッドソックスはワールドチャンピオンになった。

 イグレシアスも、タイガースの選手としてこの年のポストシーズンに出場したが、タイガースはリーグ・チャンピオンシップ・シリーズでレッドソックスに敗れた。第6戦の9回表、イグレシアスが上原浩治に三振を喫し、シリーズは終わった。