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「登板して打者3人に投げ、ホームランを3本打たれて降板」は史上2人目。1人目と2人目に共通するのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
モーリシオ・ヨベーラ(フィラデルフィア・フィリーズ)Aug 7, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月7日、モーリシオ・ヨベーラ(フィラデルフィア・フィリーズ)は、この試合の5番手として、9回表のマウンドに上がった。スコアは5対0。完璧に抑えなくても、リードを保って試合を終わらせることができる点差だった。けれども、ヨベーラは1アウトも記録することができなかった。

 1人目のマイケル・コンフォート(ニューヨーク・メッツ)にホームランを打たれ、2人目のジョナサン・ビヤーにホームランを打たれ、さらに、3人目のジェームズ・マッキャンにもホームランを打たれた。ここで、ジョー・ジラルディ監督は、ヨベーラを降板させた。ヨベーラと交代したイアン・ケネディが、2人を出塁させたものの、追加点は与えずに3アウトを記録した。

 登板して打者3人に投げ、いずれもホームランを打たれて降板するのは、ベースボール・リファレンスによると、2014年4月14日のB.J.ローゼンバーグに続き、ヨベーラが2人目だという。

 ローゼンバーグも、フィリーズのリリーバーとして、その試合に投げた。こちらの登板は1点ビハインドの8回表、相手はアトランタ・ブレーブスだが、ヨベーラと同じく――順序からすると、ヨベーラがローゼンバーグと同じく――球場はシチズンズバンク・ボールパークだった。2人とも右投手だ。

 ただ、共通点はそこまで。相手のチームも含め、この2試合のどちらにも出場した選手はいない。ちなみに、7年前のフィリーズは、ライン・サンドバーグが采配を振っていた。ジラルディは、ヤンキースで監督を務めていた。

 当時、メジャーリーグ3年目の28歳だったローゼンバーグは、登板→被本塁打3本→降板の後、メジャーリーグで7試合に投げただけで、キャリアを終えた。2015年1月にロサンゼルス・ドジャースとマイナーリーグ契約を交わし、開幕直前に解雇されてからは、どの球団にも在籍していない。ヨベーラは、メジャーリーグ2年目の25歳だ。トップ・プロスペクトではないものの、MLB.comが開幕前に発表したプロスペクト・ランキングでは、球団17位に挙げられていた。平均95マイルの速球に、チェンジアップとスライダーを交える。

 なお、フレディ・ギャルビスは、ローゼンバーグが打ち込まれた試合に、9回表からフィリーズの三塁手として出場し、2018年から他の4チームでプレーした後、ヨベーラが打ち込まれる8日前に、トレードでフィリーズへ戻ってきた。だが、今のところ、試合に出場できるアクティブ・ロースターには入っていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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