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ジャイアンツの投手が「盗塁」を記録するのは18年ぶり。他のチームはいつが最後!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョニー・クエイト(サンフランシスコ・ジャイアンツ)Jul 23, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ジョニー・クエイト(サンフランシスコ・ジャイアンツ)が、キャリア初の盗塁を記録した。クエイトはメジャーリーグ14年目。35歳の先発投手だ。3回裏に四球で出塁し、次打者のカウント3-2からスタートを切った。打者は空振り三振。捕手は送球できず、クエイトは滑り込むことなく二塁に達した。

 登板した投手による盗塁は、ジャイアンツでは2003年8月29日のカーク・リーター以来。18年ぶりのことだ。2008年9月21日には、ブラッド・ヘネシーが盗塁を記録しているものの、この時は代走として起用され、登板はしていない。なお、いるのかどうかは調べていないが、登板時に盗塁を記録した野手は、ここには含めていない。

 ナ・リーグの各チームで、最後に盗塁を記録した投手は、以下のとおり。1993年創設のマイアミ・マーリンズ(2011年まではフロリダ・マーリンズ)は、まだ1人目が現れていない。盗塁死も1度きり。2007年9月14日に、ドントレル・ウィリスが二盗を試みてアウトになった。マーリンズを除く14チーム中、最も長く途絶えているのは、コロラド・ロッキーズだ。クエイトが盗塁を記録する前のジャイアンツよりも、遠ざかっている。

筆者作成
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 各チーム最後の投手のうち、セントルイス・カーディナルスのジャック・フラハティ(2019年5月3日)とアリゾナ・ダイヤモンドバックスのケイレブ・スミス(2021年7月19日)は、「汚名返上」といった感もある。送りバントに失敗し、一塁走者が二塁で封殺されて自身が一塁に残った後、盗塁を決めた。一方、ロッキーズのマイク・ハンプトン(2002年7月22日)とシカゴ・カブスのジョン・ラッキー(2017年8月16日)は、「調子に乗りすぎた」のかどうか、同じ試合で、盗塁に続いて盗塁死も記録している。2打席続けてヒットを打ったハンプトンは、いずれも二盗を試み、成功と失敗。こちらもヒットで出塁したラッキーは、投手が打者に投げる前の隙を突いて二塁へ走り、盗塁に成功したが、打者が四球となった時に二塁を離れすぎていて、捕手からの送球で刺された。

 ミルウォーキー・ブルワーズのザック・グレインキー(2011年8月28日/現ヒューストン・アストロズ)は、その後、ロサンゼルス・ドジャースで3盗塁、ダイヤモンドバックスで5盗塁を記録している。2019年の夏にダイヤモンドバックスからアストロズへ移り、9月3日にピックオフで刺されたが、それまで盗塁死は一度もなかった。現時点の盗塁成功率は90.0%だ。

 ア・リーグは1973年にDH制を採用し、投手による盗塁は、ほとんどなくなった。以降、登板した試合で盗塁を記録したア・リーグの投手は4人しかいない。いずれも、ナ・リーグのチームのホームで行われた、DHのないインターリーグの試合。現時点の最後は、ボストン・レッドソックスのジョー・ケリー(2014年8月12日/現ドジャース)だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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