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30歳のルーキーが初安打をホームランで記録。2000年以降3番目の高齢。1位と2位はNPB経験者

宇根夏樹ベースボール・ライター
ウェブスター・リーバス(サンディエゴ・パドレス)Feb 20, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月30日、ウェブスター・リーバス(サンディエゴ・パドレス)は、5回表の打席で、ザック・グレインキー(ヒューストン・アストロズ)のスロー・カーブをレフトのスタンドまで弾き返し、メジャーリーグ初安打を記録した。

 リーバスは、30歳のオールド・ルーキーだ。ポジションは捕手。ビクター・カラティニとスタメンマスクを分け合ってきたオースティン・ノラの故障者リスト入りに伴い、5月28日にAAAから昇格し、その日にデビューした。

 ノラが開幕に出遅れた際は、22歳のプロスペクト、ルイス・カンプサノがロースターに加わった。そのことからもわかるように、リーバスの立場は、バックアップのバックアップというところだった。だが、その時のカンプサノは、34打数3安打(打率.088)で長打0本と打てず、守っても4盗塁を決められて一度も阻止できなかった。それもあって、今回はリーバスが昇格することになったと思われる。

 事情はともかく、リーバスはプロ12年目にしてメジャーリーガーとなった。ホームラン(とシングル・ヒット)は出場2試合。最初の試合は3打数0安打(1四球)ながら、左膝をついたまま二塁へ投げ、ワンバウンドの「ストライク」で二盗を阻んだ。

 イライアス・スポーツ・ビューローによると、2000年以降にメジャーリーグ初安打をホームランで記録した選手のなかで、30歳と295日のリーバスは3番目の高齢だという。その上にいるのは、34歳と43日のアラン・ジンター(2002年7月1日)と、33歳と292日の李大浩(2016年4月8日)だ。

 ジンターは、1999年に西武ライオンズで61試合に出場。こちらの初安打も、ホームランだった。初出場となった5月14日の2打席目に、グランドスラムを記録した(メジャーリーグでは、出場6試合目の通算6打席目に代打2ラン本塁打)。李は、2012~15年にオリックス・バファローズと福岡ソフトバンク・ホークスで2シーズンずつプレーし、計98本のホームランを打った。

 ジンターのメジャーリーグ出場は、2002年と2004年に計67試合。計3本のホームランのうち、最後は11回裏の2死一塁から逆転サヨナラ本塁打を打った。その後もマイナーリーグでプレーし、2007年の独立リーグを最後に39歳で選手生活を終えた。李は、2016年にシアトル・マリナーズで14本のホームランを打ち、2017年からはロッテ・ジャイアンツに戻り、現在もプレーしている。来月、39歳の誕生日を迎える。

 ここまでのリーバスの歩みは、どちらかと言えば、李よりもジンターに近い。メジャーデビューする前に、李は韓国プロ野球と日本プロ野球で計300本以上のホームランを記録した。ジンターが来日したのはプロ11年目、メジャーデビューは14年目だ。キャリアの当初は、ジンターも捕手だった。

 なお、昨シーズンから、ジンターはシンシナティ・レッズで打撃コーチを務めている。レッズには秋山翔吾がいるが、2010年のドラフトで埼玉西武ライオンズに入団したので、2人が同じ球団に在籍するのは、レッズが初めてだ。

アラン・ジンター(シンシナティ・レッズ)Mar 3, 2021
アラン・ジンター(シンシナティ・レッズ)Mar 3, 2021写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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