Yahoo!ニュース

マリナーズの新時代が始まる。投打のプロスペクトが同じ試合でデビュー。ともに3年前のドラフト1巡目

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャレッド・ケルニック(シアトル・マリナーズ)Mar 21, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2021年5月13日は、シアトル・マリナーズの新時代が始まった日として、記憶されることになるかもしれない。

 2018年のドラフト全体6位と14位、ジャレッド・ケルニックローガン・ギルバートが、同じ試合でメジャーデビューする。ギルバートは1回表のマウンドに上がり、ケルニックはレフトを守った後、1回裏の先頭打者として打席に立つ。

 マリナーズのポストシーズン進出は、イチローがデビューした2001年が最後だ。現時点では、どのチームよりも長く、ポストシーズンから遠ざかっている。

 ちなみに、ブライアン・フエンテススコット・ポセドニックラモン・バスケスも、開幕戦ではないものの、2001年にマリナーズからデビューした。3人とも、メジャーリーガーとしてのマリナーズ時代は短く、出場は20試合未満。キャリア全体の2.5%にも届かない。

 フエンテスは、コロラド・ロッキーズやロサンゼルス・エンジェルスなどで通算204セーブを挙げ、2009年にエンジェルスでセーブ王のタイトルを獲得した。ポセドニックは、ミルウォーキー・ブルワーズやシカゴ・ホワイトソックスなどで通算309盗塁を決め、ブルワーズ時代の2004年に盗塁王となった。バスケスは、ユーティリティとして、サンディエゴ・パドレスやテキサス・レンジャーズなどでプレーした。遊撃、三塁、二塁の3ポジションとも、通算1000イニングを超えた。

 MLB.comのサラ・ラングスは、ケルニックとギルバートのデビューについて、MLB機構のベースボール・リサーチ&ディベロップメント・マネージャーであるジェイソン・バーナードからの情報として、こう報じている。MLBパイプライン――MLB.comのプロスペクトを扱うページ――がスタートした2004年以降、開幕前のトップ100にランクインした2人が、そのシーズンの同じ試合で同じチームからデビューは、2013年7月23日にマイアミ・マーリンズからデビューしたクリスチャン・イェリッチ(13位/現ブルワーズ)&ジェイク・マリズニック(70位/現シカゴ・カブス)と、2016年9月21日にパドレスからデビューしたマニュエル・マーゴ(45位/現タンパベイ・レイズ)&ハンター・レンフロー(92位/現ボストン・レッドソックス)に続き、ケルニック(4位)&ギルバート(33位)が3組目となる。

 ランキングの順位(とすでにデビューしたチームにいないこと)はさておき、イェリッチ&マリズニックとマーゴ&レンフローは、どちらも外野手と外野手だ。マーリンズもパドレスも、彼らがデビューしてから、2人とも他チームへ放出するまでに、ポストシーズンへ進むことは一度もできず、勝ち越したシーズンすらなかった。

 それに対し、マリナーズの2人は、外野手と先発投手だ。2019年はともに、A、A+、AAのマイナーリーグ3クラスでプレー。ケルニックは計117試合に出場し、打率.291と出塁率.364、23本塁打と20盗塁。ギルバートは計26先発で135.0イニングを投げ、165三振を奪う一方で与四球は33にとどめ、防御率2.13を記録した。このスタッツからも窺えるとおり、ケルニックは5ツールを備え持つ。ギルバートは快速球に、カーブとスライダー、チェンジアップを交える。

ローガン・ギルバート(シアトル・マリナーズ)Mar 7, 2021
ローガン・ギルバート(シアトル・マリナーズ)Mar 7, 2021写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事