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ここ2度のノーヒッターは、どちらも同じ捕手がマスクをかぶっていた。これは「偶然じゃない」!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ビクター・カラティニ(左)とジョー・マスグローブ Apr 9, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月9日、ジョー・マスグローブ(サンディエゴ・パドレス)がノーヒッターを達成した。パドレスの投手によるノーヒッターは初。メジャーリーグでは、昨年9月13日のアレック・ミルズ(シカゴ・カブス)以来だ。

ジョー・マスグローブがノーヒッターを達成した直後 Apr 9, 2021
ジョー・マスグローブがノーヒッターを達成した直後 Apr 9, 2021写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ミルズとマスグローブのノーヒッターには、共通点がある。どちらも、投球を受けたのはビクター・カラティニだ。カラティニがバッテリーを組む相手は、ダルビッシュ有だけではない。

 隣接するノーヒッター2試合でマスクをかぶったのは、2012年9月28日と翌年7月2日のライアン・ハニガン以来。ハニガンの前は、2007年9月1日と翌年5月19日のジェイソン・バリテックだ。

 調べたところ、バリテック、ハニガン、カラティニのような例は、彼らを含め、ナ・リーグとア・リーグと19世紀のアメリカン・アソシエーションに、計12人いた。

 ハニガンの場合、2試合とも、シンシナティ・レッズでホーマー・ベイリーとバッテリーを組んだ。殿堂入りしている2人の捕手も、このパターンだ。1938年6月11日と15日にレッズのジョニー・バンダ・ミーアが達成した2登板連続ノーヒッターは、どちらもアーニー・ロンバルディが捕手だった。ニューヨーク・ヤンキースの捕手として活躍したヨギ・ベラは、1951年7月12日と9月28日に、アリー・レイノルズをノーヒッターに導いた。

 バリテックの2試合は投手が違い、それぞれ、クレイ・バックホルツジョン・レスター(現ワシントン・ナショナルズ)がノーヒッターを達成した。だが、球団は同じ。バリテックは、メジャーデビュー前のトレードでシアトル・マリナーズからボストン・レッドソックスへ移り、その後はキャリアを通してレッドソックスでプレーした。このパターン――違う投手で同じ球団――も、バリテックだけではない。

 隣接するノーヒッター2試合でマスクをかぶり、球団が異なるのは、カラティニが初めてだ。昨年12月のトレードで、カラティニはダルビッシュとともに、カブスからパドレスへ移籍した。

 ミルズは、マスグローブのノーヒッターを称えるツイートのなかで、「プレートの後ろにカラティニがいたのは偶然じゃない」と綴っている。

アレック・ミルズがノーヒッターを達成した直後 Sep 13, 2020
アレック・ミルズがノーヒッターを達成した直後 Sep 13, 2020写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 なお、バリテックがマスクをかぶったノーヒッターは、他に2試合ある。2001年4月4日は野茂英雄、2002年4月27日はデレク・ロウとバッテリーを組んだ。ノーヒッター4試合は捕手最多。その後、カルロス・ルイーズがバリテックに並んでいる(「ノーヒッターに縁のある捕手とない捕手。ルイーズは4試合でマスクの一方、出場2000試合で皆無の捕手も」)。

 カラティニについては、こちらでも書いた。

ダルビッシュとバッテリーを組んだ日のカラティニは、強打者に変身するのか。ここ3試合とも2打点以上

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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