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メジャーリーグ移籍が「実現しなかった」直後のシーズンは…。今年は菅野智之と西川遥輝がそう

宇根夏樹ベースボール・ライター
菅野智之 MARCH 14, 2017(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 菅野智之(読売ジャイアンツ)と西川遥輝(北海道日本ハムファイターズ)は、今オフ、ポスティング・システムを利用してメジャーリーグ移籍をめざしたものの、実現には至らなかった。今シーズンも、日本プロ野球でプレーする。

 彼らと同じ経緯をたどった選手は、これまでに7人を数える。ポスティング・システムを利用した直後のシーズンも、日本プロ野球でプレーした選手だ。入来祐作トニー・バーネットは、ここには含めていない。2人とも、ポスティングによる移籍は実現しなかったが、そこから自由契約となり、メジャーリーグの球団と契約を交わした。日本プロ野球の他球団へ移籍した大塚晶則真田裕貴は、ここに含めた。

 下のリストは、その7人のポスティング直前と直後のシーズン成績だ。

筆者作成
筆者作成

 ティモ・ペレス(ティモニエル・ペレス)と真田は、直後のシーズンの出場/登板がほとんど皆無に等しい。三井浩二がメジャーリーグ移籍を試みたのは、35歳の時だ。他の6人よりもかなり年齢が高く、直前のシーズン成績も芳しくなかった。

 他の4人は、直後のシーズンも、直前のシーズンと同水準かそれ以上だった。大塚の防御率は1.28→2.09と上昇しているが、数値としては悪くない。先発投手と比べ、リリーフ投手はイニングが少ないので、防御率は上下しやすい。岩隈久志の直後のシーズンは、故障で離脱した期間があったものの、投球内容は直前のシーズンと遜色なかった。中島裕之(現在は宏之/読売)と菊池涼介(広島東洋カープ)も、打撃に関しては、直後のシーズンが直前のシーズンをほぼ上回る。

 この7人中4人は、ポスティングによる移籍が実現しなかった次のオフに、再びメジャーリーグをめざし、今度は契約を手にした。ペレスはニューヨーク・メッツへ。大塚はポスティング・システムを再度利用し、サンディエゴ・パドレスに入団した。岩隈と中島は海外FA権を行使し、それぞれ、シアトル・マリナーズ、オークランド・アスレティックスと契約を交わした。そして、中島を除く3人は、メジャーリーガーとなった。

 菅野と西川は、今シーズン中に海外FA権を取得する見込みだ。シーズン終了後に彼らが再びメジャーリーグ移籍をめざすかどうかは不明ながら、メジャーリーグの球団が彼らと契約した場合、今オフと違い、それまで在籍していた日本プロ野球の球団に支払うポスティング費は発生しない。メジャーリーグの球団からすると、今オフよりも高額な契約であっても、総額としては同じ、あるいは少ない金額で済む可能性がある。一方、年齢が一つ上になるのはマイナス要素だが、現在の菅野は32歳、西川は28歳。今シーズンも活躍すれば、こちらはそう問題にならないだろう。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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