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オープン戦でホームランをよく打った選手は、そのシーズンにアーチを量産するのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
今年のオープン戦は3月2日~21日(写真:アフロ)

 昨年のオープン戦で最多の4本塁打を記録した2人のうち、中島宏之(読売ジャイアンツ)は、レギュラーシーズンの出場100試合(279打数)で7本塁打にとどまった。一方、タイラー・オースティン(横浜DeNAベイスターズ)は、65試合(238打数)で20本塁打。本数こそリーグ7位タイながら、11.9打数に1本塁打のペースは、実質的な両リーグ・トップだった。

 2019年のオープン戦4本塁打以上は、5本の陽岱鋼(読売)と大田泰示(北海道日本ハムファイターズ)を筆頭に5人。2018年は、6本塁打のウラディミール・バレンティン(当時・東京ヤクルトスワローズ/現福岡ソフトバンクホークス)をはじめ、12人が4本以上を記録した。過去3年に、オープン戦で年4本塁打以上は、12人+5人+2人=19人だ。そのなかで、同じ年にシーズン20本塁打以上は10人。全体の52.6%となる。

 この19人を含め、オープン戦で年3本塁打以上の延べ48人中(2018年=19人、2019年=18人、2020年=11人)、シーズン20本塁打以上は延べ26人(10人、9人、7人)だった。こちらの割合は54.2%となる。

 こうした結果からすると、オープン戦でホームランをよく打った選手が、シーズンでもそうなるとは言えない。

 また、過去3年にシーズン30本塁打以上を記録した延べ28人中、その年のオープン戦で3本塁打以上は13人(46.4%)だ。オープン戦で1本塁打あるいは0本塁打だった選手も、10人(35.7%)と少なくない。昨シーズンの各リーグ本塁打王で、3年連続30本塁打以上の2人のうち、岡本和真(読売)は、過去3年のオープン戦、計43試合(139打数)で9本塁打(4本、2本、3本)を打っている一方、浅村栄斗(現・東北楽天ゴールデンイーグルス)は、計35試合(91打数)で2本塁打(1本、1本、0本)に過ぎない。

 なお、オースティンがホームランを打つペースについては、昨年11月にこちらで書いた。

●来シーズンは本塁打王!? 横浜DeNAのオースティンが記録した「量産ペース」は両リーグ1位」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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