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全打者の50%以上から三振を奪った投手たち。今年の新人王は100人中53人

宇根夏樹ベースボール・ライター
デビン・ウィリアムズ(ミルウォーキー・ブルワーズ)Sep 5, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ナ・リーグの新人王に選ばれたデビン・ウィリアムズ(ミルウォーキー・ブルワーズ)は、リリーフとして22試合に登板し、計27.0イニングを投げて自責点1、防御率0.33を記録した。これは、シーズン25イニング以上の投手では、1908年に防御率0.00のアール・ムーアに次いで低い。ちなみに、この年のムーアは、先発投手として3試合に投げた。

 ウィリアムズの奪三振率は17.67。こちらは、シーズン25イニング以上の歴代1位タイだ。2014年のアロルディス・チャップマン(当時シンシナティ・レッズ/現ニューヨーク・ヤンキース)と、今シーズンのジェームズ・カリンチャック(クリーブランド・インディアンズ)と並ぶ。チャップマンと比べると、ウィリアムズとカリンチャックのイニングと奪三振はちょうど半分ながら、それでもかなりのものだ。

 また、ウィリアムズは100人の打者と対戦し、53三振を奪った。カリンチャックが奪三振を記録したのは109人中53人。2014年のチャップマンは202人中106人だ。全対戦に奪三振が占める割合は、53.0%、48.6%、52.5%となる。

 1シーズンに100人以上の打者と対戦し、その50%以上が奪三振という投手は、今シーズンのウィリアムズと2014年のチャップマン――今シーズンのチャップマンは48.9%――の他には、2012年のクレイグ・キンブレル(当時アトランタ・ブレーブス/現シカゴ・カブス)しかいない。この年のキンブレルは231人と対戦し、116三振を奪った。その割合は50.2%だった。

 ウィリアムズの53.0%は、2014年のチャップマンと2012年のキンブレルを上回る。対象を30人以上の打者と対戦した投手に広げても、奪三振の割合はウィリアムズが最も高い。対戦20人以上でも、ウィリアムズを凌ぐのは、2002年のフランシスコ・ロドリゲスだけだ。9月半ばにデビューしたロドリゲスは、21人と対戦し、61.9%の13人から三振を奪った。

筆者作成
筆者作成

 スタットキャストによると、ウィリアムズが投げたのはほぼ2球種。431球中、平均96.4マイルの4シームが180球(41.8%)、平均84.1マイルのチェンジアップが227球(52.7%)だった。空振り率はどちらも極めて高く、40.0%と61.1%。4シームで12三振、チェンジアップで41三振を奪った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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