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昨年の鈴木誠也のような「首位打者&最高出塁率」がいる一方、過去には「出塁率リーグ14位の首位打者」も

宇根夏樹ベースボール・ライター
アレックス・ラミレス(左)June 2, 2020(写真:ロイター/アフロ)

 昨シーズン、打率.335で首位打者を獲得した鈴木誠也(広島東洋カープ)は、出塁率.453もセ・リーグで最も高かった。1985年以降の「首位打者&最高出塁率」は、鈴木が24人目だ。過去35シーズンの首位打者71人中24人、約3分の1の33.8%という割合になる。なお、35シーズン×2リーグ=70人より1人多いのは、1987年のセ・リーグに首位打者が2人いるのが理由だ。正田耕三篠塚利夫が、打率.333で並んだ(「タイトルを分け合った打者たち。本塁打王は10組、打点王は7組、首位打者も2組」)。

筆者作成
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 このスパンの首位打者のうち、67.6%(48人)の出塁率はリーグ・トップ3にランクインしている。昨シーズン、打率.329でパ・リーグの首位打者となった森友哉(埼玉西武ライオンズ)の出塁率.413は、近藤健介(北海道日本ハムファイターズ)の.422と吉田正尚(オリックス・バファローズ)の.413に次いで高かった。

 出塁率リーグ5位以内の首位打者は78.9%(56人)だ。また、60.6%(43人)の出塁率は.400を上回り、出塁率.380以上の割合は83.1%(59人)に上る。

 ただ、なかには、首位打者を獲得しながら、出塁率はリーグ10位以下という選手もいる。例えば、1987年に首位打者を分け合った2人のうち、正田はリーグ4位の出塁率.387を記録したが、篠塚は12位の.353に過ぎなかった。四球率は正田も5.2%(24四球)と低かったものの、篠塚はさらに下の3.1%(14四球)。また、正田の11死球に対し、篠塚は1死球だった。

筆者作成
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 さらに、2009年のセ・リーグ首位打者、アレックス・ラミレスの出塁率は.350にすら届かず、その順位は規定打席に達した29人のほぼ真ん中、14位に位置した。もっとも、この年のラミレスは、3位タイのホームラン31本、3位の二塁打35本、4位の103打点などを記録し、前年に続いてMVPに選ばれた。

 なお、打率と出塁率については、こちらでも書いた。

打率が2割5分に届かなくても、出塁率は4割以上。昨年の山田哲人もNPBではレア

打率よりも低い出塁率。そんなことってあり得る??

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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