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MLBで「盗塁の少ないスラッガー」として際立つのは、阪神でもプレーしたあの選手

宇根夏樹ベースボール・ライター
セシル・フィルダー Jan 30,1997(写真:ロイター/アフロ)

 通算300本以上のホームランを打ち、通算盗塁は一桁という選手は、日本プロ野球にはまだいない。一方、メジャーリーグには、「300本塁打以上&10盗塁未満」が5人いる。

筆者作成
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 彼らのうち、ポール・コネルコは439本塁打&9盗塁なので、史上唯一の「400本塁打以上&10盗塁未満」だ。また、382本塁打&8盗塁のフランク・ハワードは、シーズン1盗塁が8度(1962~64、66、69~72年)。319本塁打&2盗塁のセシル・フィルダーは「5盗塁未満で最も多くのホームランを打った選手」ということになる。メジャーリーグでプレーした13シーズン中、1996年以外のシーズンは盗塁がなかった。それについては、「【4月2日のMLB】1097試合目の初盗塁、最年少で300本塁打、ダルビッシュがあわや完全試合」でも書いた。

 偶然ながら、ハワードとフィルダーは、ホームランの多さと盗塁の少なさに加え、日本プロ野球でプレーしたことも共通する。ハワードは太平洋クラブライオンズの選手として、1974年の開幕戦に出場。盗塁もホームランも記録せず、その後の出場はなかった。フィルダーは1989年に阪神タイガースで106試合に出場し、38本のホームランを打ったが、こちらも盗塁はゼロだった。ちなみに、この時点のフィルダーは、メジャーリーグで盗塁を記録したことがなく、本塁打も220試合で31本に過ぎなかった。この2人と違い、228本塁打&2盗塁のディック・スチュアートは、1967~68年に太平洋クラブでプレーし、49本塁打とともに、1度だけとはいえ、盗塁も記録した。

 一方、「10本塁打未満&250盗塁以上」は10人を数える。ただ、そのうちの8人は、ラストシーズンが1923年かそれよりも前だ。残る2人、2本塁打&300盗塁のフランク・タベラスと6本塁打&267盗塁のミゲル・ディローネイは、1970年代から80年代にかけてプレーした。ピッツバーグ・パイレーツで活躍し、「ピッツバーグ・スティーラー」と呼ばれたタベラスの場合、フェンス・オーバーしたホームランは1本しかなく、初本塁打はランニング・グランドスラムだった。最近の選手では、2010~17年にメジャーリーグでプレーしたベン・リビアが、7本塁打&211盗塁を記録している。

 なお、日本プロ野球版はこちら。

「盗塁とは縁遠いスラッガー」と「ホームランの少ないスピードスター」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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