パワー&スピードではなく…。「盗塁とは縁遠いスラッガー」と「ホームランの少ないスピードスター」
パワーとスピードをどちらも発揮した選手は、そう多くない。けれども、通算本塁打のトップ2、868本の王貞治と657本の野村克也にしても、まったく走らなかったわけではない。どちらも、シーズン二桁盗塁を記録している。王は1961年に10盗塁(盗塁刺5)。野村は1967年の13盗塁(盗塁刺4)が最も多く、二桁に達したシーズンは3度を数える。小笠原道大(378本)のように、19シーズン中18シーズンは一桁盗塁もしくは盗塁ゼロながら、2000年に限っては24盗塁(盗塁刺6)というスラッガーもいる。
その一方で、足が遅かったのではなく、盗塁を試みることが少なかっただけかもしれないが、キャリアを通して盗塁とは縁が薄かったスラッガーも存在する。シーズン二桁盗塁が一度もない選手の「通算本塁打トップ20」は、以下のとおりだ。
彼らのなかでも、2人の現役選手、中村剛也(埼玉西武ライオンズ)とウラディミール・バレンティン(福岡ソフトバンクホークス)のスタッツは、どちらもかなり目を惹く。中村の415本塁打は、通算30盗塁未満の選手では、田淵幸一(474本)に次いで2番目に多い。中村は過去5年とも1~2盗塁ずつ記録しているので、30盗塁に到達するかもしれないが、通算本塁打で田淵を抜き「30盗塁未満で最も多くのホームランを打った選手」となる可能性もある。
バレンティンは、シーズン二桁盗塁がない上、9シーズンの通算でも二桁に達していない。200本塁打以上の106人中、バレンティン以外の通算10盗塁未満は、205本&5盗塁の筒香嘉智(現タンパベイ・レイズ)と202本&5盗塁のランディ・バースしかいない。トリビアという点からすると、バレンティンには史上初の「300本塁打&一桁盗塁」を期待したい。ちなみに、バレンティンのメジャーリーグ通算は、15本塁打&2盗塁。もっとも、マイナーリーグでは、シーズン二桁盗塁を4度記録している。
彼らとは対照的に、ホームランとは縁遠かったスピードスターもいる。こちらのリストは、シーズン二桁本塁打が一度もない選手の「通算盗塁トップ10」だ。381盗塁の赤星憲広は、2001~09年の9シーズンとも20盗塁以上を記録し、どのシーズンもホームランは1本以下だった。
二桁本塁打のシーズンがなく、通算150盗塁以上の現役選手は3人。ただ、217盗塁の大島洋平(中日ドラゴンズ)と195盗塁の金子侑司(埼玉西武)は、通算本塁打が二桁に達している。それぞれ、31本と15本だ。その点、163盗塁の中島卓也(北海道日本ハムファイターズ)は、これまでにホームランを2本しか打っていない。赤星と同じく、シーズン最多は1本だ。
パワーとスピードをどちらも発揮した選手については、こちらで書いた。
●NPB17人目の「200本塁打&200盗塁」は誰? 「100-100」の現役選手は12人
【追記:5/4】メジャーリーグ版は、こちら。