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パクストンを欠くヤンキースが、代役候補に新たな投手を追加。防御率は高いが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
チャド・ベティス Jul 26, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現在、ニューヨーク・ヤンキースのローテーションは、1枠が空いている。2月上旬にジェームズ・パクストンが腰の手術を受け、5月か6月までは登板できない。この事態については、「ヤンキースは新たな先発投手を手に入れるのか。パクストンが手術を受けて出遅れ」で書いた。

 ジョーダン・モンゴメリーをはじめ、ローテーションの穴を埋める候補はすでに何人かいるが、さらに、新たな投手がそこへ加わった。2月15日にマイナーリーグ契約で入団した、チャド・ベティスがそうだ。ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマンによると、メジャーリーグに昇格した場合の年俸は150万ドルで、最高200万ドルの出来高がついているという。

 これまで、ベティスはコロラド・ロッキーズで投げてきた。7シーズンで164試合(92先発、72救援)に登板し、600.2イニングで防御率5.12。昨シーズンは3先発したところでブルペンへ。8月に腰の手術を受け、計39登板、63.2イニングで防御率6.08に終わった。オフに40人ロースターから外されたベティスは、マイナーリーグ降格とFAのうち、後者を選んだ。

 ベティスがホームとしてきたクアーズ・フィールドは、言わずとしれた「打者天国」だ。通算防御率は、ホームの5.82に対してアウェーは4.42。昨シーズンは7.11と5.06、2018年は7.08と2.88だった。2年前のアウェー防御率2点台は、先発10試合で記録したものだ。ベティスは多くのゴロを打たせるグラウンドボーラーで、ファングラフスのデータによると、2013~18年のゴロ率は毎年50%前後。昨シーズンは60.8%に達した。この数値は、50イニング以上を投げた341投手のなかで、8番目に高かった。ローテーションに入れなくても、ミドル・リリーバーとしてブルペンの一員になれるかもしれない。

 なお、パクストンの元チームメイトが、出遅れるパクストンに代わってローテーションに加わる可能性はなくなった。先日、「元「ビッグ3」の一人が戻ってきて、マリナーズのローテーションは完成!?」で書いたとおり、タイワン・ウォーカーは2月12日にシアトル・マリナーズと契約した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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