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FA市場に残る「現時点の先発投手ビッグ3」、マッドバム、リュ、カイクルはいずれもリスキー!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
マディソン・バムガーナー Aug 3, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフのFA市場は、動きが速い。そのなかでも、先発投手は、ゲリット・コールスティーブン・ストラスバーグのトップ2、ザック・ウィーラーを含めるとトップ3が、ニューヨーク・ヤンキース、ワシントン・ナショナルズ、フィラデルフィア・フィリーズとそれぞれ大型契約を交わし、他の投手も続々と新たな契約を手にしている。

筆者作成
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 現時点でFA市場に残っている、先発投手のビッグ3は、マディソン・バムガーナーヒョンジン・リュダラス・カイクルの左腕3人だろう。いずれも、ここ3年のトータル防御率は3.60未満。この間に防御率4.00以上のシーズンはない。

 ただ、彼らには懸念材料もある。

 バムガーナーはホームとアウェーの落差が激しい。2018年はホームの防御率1.63に対し、アウェーでは4.97だった。2019年も2.93と5.29だ。サンフランシスコ・ジャイアンツと再契約しない限り、オラクル・パークで投げる機会はグッと減る。

 リュは2019年に182.2イニングを投げ、両リーグ・ベストの防御率2.32を記録したが、他に規定投球回をクリアしたのは、メジャーリーグ1年目の2013年(192.0イニング)だけだ。2015~18年の4シーズンは、全休、4.2イニング、126.2イニング、82.1イニング。故障が多く、2019年も故障者リストに2度入った。好投できても、マウンドに上がれなければ話にならない。

 カイクルの場合、2019年は112.2イニングしか投げていないので――故障ではなく、6月上旬まで球団が決まらなかった――もしかすると一時的なことかもしれないが、9イニング当たりの被本塁打が前年の0.79本から1.28本に増え、防御率は3.74→3.75とほぼ同じながら、FIPは3.69→4.72と急上昇した。100イニング以上の130投手中、防御率3.75は32位だが、FIP4.72は88位(ワースト43位)だ。

 それでも、彼らを手に入れようとしている球団は少なくない。

 USAトゥディのボブ・ナイテンゲールによると、バムガーナーは5年1億ドル以上の契約を求めているという。コールの9年3億2400万ドルとストラスバーグの7年2億4500万ドルには及ばないが、これは、ウィーラーの5年1億1800万ドルに近い。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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