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「山羊の呪い」を解いた監督と遊撃手は、新たなチームで合流するのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョー・マッドン(左)とアディソン・ラッセル Jun 22, 2015(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 3年前、シカゴ・カブスは「山羊の呪い」を解き、108年ぶりにワールドチャンピオンへ返り咲いた。当時、ジョー・マッドンは監督としてカブスの指揮を執り、アディソン・ラッセルは遊撃を守っていた。2勝3敗で迎えたワールドシリーズ第6戦に、ラッセルは6打点を挙げた。その時に「ワールドシリーズの1試合6打点は、今年のラッセルが4人目。その価値は7年前の松井秀喜より高かった」で書いたとおり、これはワールドシリーズの1試合最多記録だ。

 今オフ、2人はカブスを退団した。マッドンは5年契約の満了とともに退任し、ロサンゼルス・エンジェルスの監督に就任した。ラッセルはカブスからノンテンダーとされ(来シーズンの契約を球団から提示されず)、FAになった。

 近年は精彩を欠き、DVによる出場停止も科されたが、ラッセルはまだ25歳だ。復活してもおかしくない。ドラフト順位は2012年の全体11位。2015年の開幕前には、ベースボール・アメリカなどのプロスペクト・ランキングで、軒並み全体5位以内に挙げられていた。

 2015年のメジャーデビュー以来、ラッセルはマッドンの下でプレーしてきた。ただ、来シーズン、マッドンと同じユニフォームを着てプレーすることはないだろう。エンジェルスの遊撃は、名手のアンドレルトン・シモンズが守っている。二塁と三塁にも、デビッド・フレッチャーザック・コザートトミー・ラステラがいる。エンジェルスはラッセルを必要としていない。

 一方、こちらの監督と遊撃手は、新たなチームで再会するかもしれない。ジョー・ジラルディディーディー・グレゴリアスだ。2015~17年の3シーズン、2人は監督と遊撃手として、ニューヨーク・ヤンキースでともに過ごした。

 来シーズン、ジラルディは3年ぶりにフィールドへ戻り、采配を振る。フィラデルフィア・フィリーズの監督に就任した。グレゴリアスはヤンキースからFAに。クオリファイング・オファーの申し出はなかった。MLBネットワークのジョン・モロシによると、フィリーズはグレゴリアスと契約することを考えているという。

 フィリーズの遊撃にはジーン・セグーラがいるが、二塁と三塁は空いている。セイザー・ヘルナンデスマイケル・フランコの2人を、フィリーズはノンテンダーとした。セグーラは2016年にアリゾナ・ダイヤモンドバックスで、二塁手としてプレーした。

 ジラルディは、グレゴリアスの人柄も気に入っているようだ。数日前、SNY(スポーツネット・ニューヨーク)やABC(アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー)にマイクを向けられたジラルディは、グレゴリアスについて「クラブハウスにおける大きな存在」とコメントした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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