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本塁打王が二刀流に挑戦。ベーブ・ルースとは逆パターン!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
マーク・トランボ Aug 22, 2016(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 スラッガーとして活躍したマーク・トランボが、二刀流に挑戦する。ジ・アスレティックのダン・コノリーが報じている。トランボは2012~13年にロサンゼルス・エンジェルスで2年続けて30本以上のホームランを打ち、2016年はボルティモア・オリオールズで47本を記録。本塁打王のタイトルを獲得した。

 ただ、昨年の夏に右膝を痛め、今シーズンのメジャーリーグ出場は9月の12試合だけ。ホームランはゼロに終わり、オフにFAとなった。

 メジャーリーグでもマイナーリーグでも登板したことはないが、高校時代のトランボは投手だった。2004年のドラフトにおいて、エンジェルスは18巡目・全体533位に、トランボを右投手として指名した。その6年後(今から9年前)にダン・アシュビーがMiLB.comで発表した記事によれば、当時、速球の最速は95マイルを超えていた。野手に専念したのは、入団直後の打撃練習がきっかけらしい。当時のスカウト部長は、打者として成功できなくても、いつでも投手はできると考えたという。トランボは一塁と外野両翼を守ってきた。

 なお、本塁打王のトランボが二刀流に転身しても、ベーブ・ルースの逆パターンにはならない。ルースが獲得した12度の本塁打王のうち、最初の2度はボストン・レッドソックス時代の1918~19年だ。どちらのシーズンも、ルースは130イニング以上を投げた。従って、二刀流選手としても野手としても、ルースは本塁打王になっている。

 来年1月に34歳となるトランボの挑戦は、まだ先が見えない。そもそも、二刀流であるか否かを問わず、トランボと契約しようとする球団があるのかどうかもわからない。けれども、コノリーの記事によると、トランボはすでに投手としての練習を始めている。現時点の速球は、90マイル前後だという。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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