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意外!? ワールドシリーズMVPを受賞した「ドラフト全体1位」は、今年のストラスバーグが初めて

宇根夏樹ベースボール・ライター
スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)Oct 30, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2019年のワールドシリーズMVPは、スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)が受賞した。第2戦と第6戦に先発し、6イニングと8.1イニングを投げて2失点ずつ。どちらの試合でも、白星を挙げた。

 10年前のドラフトで、ストラスバーグはナショナルズから全体1位指名を受けた。ドラフト全体1位の選手がワールドシリーズMVPに選ばれるのは、初めてのことだ。

 一方、レギュラーシーズンのMVPを受賞した全体1位は、7人を数える。ジェフ・バロウズ(ドラフト=1969年/MVP=1974年)、ケン・グリフィーJr.(1987年/1997年)、チッパー・ジョーンズ(1990年/1999年)、アレックス・ロドリゲス(1993年/2003、05,07年)、ジョシュ・ハミルトン(1999年/2010年)、ジョー・マウアー(2001年/2009年)に、昨シーズンまでストラスバーグとチームメイトだったブライス・ハーパー(2010年/2015年/現フィラデルフィア・フィリーズ)がそうだ。A-RODが3度受賞しているので、延べ9人となる。

 基本的には、1年につき、レギュラーシーズンのMVPは2人(各リーグ1人)、ワールドシリーズのMVPは1人が選ばれる。どちらも複数の選手が同時に受賞した年があり、今年のレギュラーシーズンのMVPはまだ発表されていないが、同じスパンにおける人数は、ほぼ2倍だ。それにしても、ドラフト全体1位の受賞が、前者は9度、後者は1度というのは、あまりにも違う。

 これは、それぞれの試合数が、理由の一つとして考えられる。レギュラーシーズンの162試合に対し、ワールドシリーズは少なければ4試合、多くても7試合だ。長丁場ではない後者の場合、いつもは「脇役」の選手が「主役」になる可能性は増す。

 もっとも、ドラフト1巡目の受賞者は、ワールドシリーズのMVPも少なくはない。ドラフトで指名されてプロ入りし、ワールドシリーズMVPに選ばれた延べ37人のうち、ストラスバーグを含む延べ13人(35.1%)は1巡目指名だった。この人数は、2巡目指名の8人(21.6%)を上回るだけでなく、どのラウンドよりも多い。

筆者作成
筆者作成

 ちなみに、ワールドシリーズMVPのなかで、最もドラフトの順位が低かったのは、2007年に受賞したマイク・ローだ。1995年のドラフトで、ニューヨーク・ヤンキースから20巡目・全体562位指名を受けた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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