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秋山翔吾に4年20億円以上を提示するMLB球団はあるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
秋山翔吾/2017年のWBC MARCH 14, 2017(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 秋山翔吾が、海外FA権の行使を申請した。サンケイスポーツによると、埼玉西武ライオンズは秋山に対し、4年総額20億円超の契約を提示しているという。

 20億円は、1ドル=100円なら2000万ドル、1ドル=110円だと1818.2万ドルだ。4年で割ると、年平均は500万ドルあるいは454.6万ドルになる。

 過去2度のオフに、FAとなって複数年契約を得た計10人の外野手のうち、8人の年平均額は1000万ドルを超えた。一方で、残る2人は年平均400万ドルに届かなかった。

筆者作成
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 これは、レギュラーとそうではない選手の差だ。ジャロッド・ダイソン(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)は、それまで規定打席をクリアしたことがなく、2年750万ドルで契約した後も、237打席と452打席にとどまった。ちなみに、400打席に達したのは、メジャーリーグ10年目で初めてのことだった。

 オースティン・ジャクソンは、過去の実績こそあるものの、こちらも2016年以降は400打席未満。昨年1月に2年600万ドルでサンフランシスコ・ジャイアンツと契約したが、半年足らずでテキサス・レンジャーズへ放出され、数日後に解雇された。この時は、直後にニューヨーク・メッツに拾われたものの、今シーズンはどの球団とも契約できなかった。

 秋山の場合、メジャーリーグの球団が提示する契約の年平均額は、レギュラーの8人とそうではない2人の間くらいではないだろうか。1000万ドル未満、400万ドル以上だ。

 センターを守ってきた点は、ダイソンとジャクソンの2人と共通し、年齢も近い。秋山は来年4月で32歳。契約1年目のダイソンと比べると1歳若く、ジャクソンより1歳上だ。けれども、メジャーリーグでプレーしたことがないとはいえ、日本プロ野球での実績は十分。契約した時点で、すでにレギュラーとしては物足りなかったダイソンとジャクソン――結果もそのとおりになった――とは違い、うまくいけばメジャーリーグでも活躍する可能性がある。

 もっとも、どうなるかは読みにくいだけに、年平均1000万ドル以上の契約は、球団にとってはリスクが大きい。年齢からすると、契約年数は2年か、長くても3年だろう。そうなると、総額は高くても2000万ドル前後、埼玉西武の提示額と同水準になりそうだ。

 あとは、センターを守れる外野手が、どれだけストーブリーグの市場に出てくるかも、秋山の契約を左右する。例えば、「FAとトレード、この選手はどちらの可能性もあり。いずれにせよ、ストーブリーグでは大人気!?」で書いたように、スターリング・マーテイ(ピッツバーグ・パイレーツ)の動向は流動的だ。マーテイを欲しながら逃した球団が、プランBとして秋山との契約に動く、ということもあり得る。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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