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彼らは「オプト・アウト」してFAになるのか。ダルビッシュ、ストラスバーグ、チャップマンらの決断は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)Aug 31, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、彼らはFA市場に打って出るのか、現在の球団にそのまま残るのかを、自らの意思で選ぶことができる。いずれも、その契約には、2019年のシーズン終了後にオプト・アウトできる――契約を途中で打ち切ってFAになれる――条項が含まれている。クオリファイング・オファーの受諾/拒否と同じく、決断する期間はワールドシリーズ終了後の翌日から5日間だ。オプト・アウトする意思を示しつつ、FAとなる前に現在の球団と交渉し、延長契約を交わすこともある。

筆者作成
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 8人のうち、ジェイク・アリエタ(フィラデルフィア・フィリーズ)とエルビス・アンドゥルース(テキサス・レンジャーズ)の2人は、オプト・アウトしないようだ。どちらについても、MLBネットワークのジョン・ヘイマンがそう報じている。今シーズンの成績からすれば、当然だろう。アリエタのシーズン防御率は、4年続けて悪化している。また、来年のスプリング・トレーニングには間に合う見込みだが、8月には右肘から骨棘を取り除く手術を受けた。

 アンドゥルースは、昨オフもオプト・アウトしなかった。2009年のメジャーデビュー以来、ずっとレンジャーズでプレーしてきたことよりも、成績が芳しくなかったことが、その理由だと思われる。今オフも、状況は変わらない。2016年と2017年の2年連続OPS.800以上に対し、2018年と2019年のOPSは.675と.707だ。現在の契約でアンドゥルースがオプト・アウトできるのは、昨オフと今オフしかない。

 ダルビッシュ有(シカゴ・カブス)も、MLB.comのジョーダン・バスティアンが9月下旬に発表した記事によると、オプト・アウトする可能性は低い。33歳の年齢を考慮すると、こちらも妥当なところか。もっとも、今シーズンの後半戦は、防御率2.76、奪三振率13.00、与四球率0.77、K/BB16.86を記録した(前半戦はそれぞれ、5.01、10.30、4.55,2.27)。シーズンの半分とはいえ、ダルビッシュはブレイクしたわけではなく、それまでの実績もある。今オフのFA市場に出た場合、4年1億ドルを上回る新契約を得ても、何ら不思議はない。

 ダルビッシュのチームメイトであるジェイソン・ヘイワードは、今シーズンの打席が550に達したことで、オプト・アウトできるようになった。今シーズンは、7年ぶりの20本塁打以上と4年ぶりのOPS.750以上。ただ、2016~18年の不振を完全に払拭するほどではない上、守備はかつてほどの名手ではなくなった感もある。残りの契約からしても、カブスに残留しそうだ。

 スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)については、数日前に「今オフのFAビッグ3が、ワールドシリーズに揃い踏み」で考察したとおりだ。クローザーの2人は、アロルディス・チャップマン(ニューヨーク・ヤンキース)がオプト・アウトして、ケンリー・ジャンセン(ロサンゼルス・ドジャース)はしないのではないだろうか。

 残るJ.D.マルティネス(ボストン・レッドソックス)は、読みにくい。打撃だけならFA市場で人気を博すだろうが、守備につかないDHが適任なので、需要は限られる。当てはまるのは、ア・リーグで来秋のポストシーズン進出をめざしていて、DHが不在あるいは今オフに不在となるチームだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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