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シーズン本塁打の球団記録を塗り替えたスラッガーが、次のホームランで「消滅」させたのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
M.マルドナード(左/現アストロズ)とJ.ソレーア May 26, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月3日、ホルヘ・ソレーア(カンザスシティ・ロイヤルズ)は、シーズン本塁打のフランチャイズ・レコード(球団記録)を塗り替えた。39本目のホームランを打ち、2年前にマイク・ムスタカス(現ミルウォーキー・ブルワーズ)が記録した38本塁打を上回った。

 翌日も、ソレーアはホームランを打った。こちらは、球団記録をさらに伸ばしただけではない。メジャーリーグから「シーズン40本以上のホームランを打った選手がいない球団」を消滅させた。

 今から50年前、ロイヤルズは、ミルウォーキー・ブルワーズ、サンディエゴ・パドレス、モントリオール・エクスポズ(現ワシントン・ナショナルズ)とともに生まれた。40本塁打以上の選手を輩出するという点において、ロイヤルズは「同期」の3球団だけでなく、後から誕生した6球団にも先を越された。1998年にできた「最後」の2球団のうち、アリゾナ・ダイヤモンドバックスでは、2001年にルイス・ゴンザレスが57本のホームランを打ち、タンパベイ・デビルレイズ(現レイズ)では、2007年にカルロス・ペーニャが46本塁打を記録した。

筆者作成
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 もっとも、ロイヤルズは、40本塁打以上の選手が初めて現れるまで、最長の歳月を要した球団ではない。1901年に誕生したシカゴ・ホワイトソックスは、1993年にフランク・トーマスが41本のホームランを打つまで、92シーズンにわたり、40本塁打以上がいなかった。

 40本塁打以上が皆無の球団は消えたが、全体の3分の1に当たる10球団は、50本塁打以上の選手を輩出していない。そのうち、ロイヤルズを含む4球団には、今シーズン、40本以上のホームランを打っている選手がいる。ニューヨーク・メッツはピート・アロンゾ(45本)、ロサンゼルス・エンジェルスはマイク・トラウト(45本)、ロサンゼルス・ドジャースはコディ・ベリンジャー(44本)がそうだ。

 なお、クリスチャン・イェリッチ(ブルワーズ)とエウヘニオ・スアレス(シンシナティ・レッズ)も40本塁打以上(43本と41本)だが、ブルワーズでは2007年にプリンス・フィルダーが50本塁打、レッズでは1977年にジョージ・フォスターが52本塁打を記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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