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トレードされたのは残念じゃないというコメントは本音!? 移籍前は防御率3点台、移籍後は7点台

宇根夏樹ベースボール・ライター
トレバー・バウアー(シンシナティ・レッズ)Aug 14, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月25日、トレバー・バウアー(シンシナティ・レッズ)は、FOXスポーツ・オハイオの記者に「ここは、情報もコーチング・スタッフも素晴らしい。前よりもハッピーだ」とクラブハウスで語った。7月末の三角トレードにより、クリーブランド・インディアンズからレッズへ移籍後、1ヵ月が経とうとしている。さらに、バウアーは「チームメイトやスタッフの数人と離れたのは残念だけど、全体としては、クリーブランドを去ったことはそれほど残念じゃない」ともコメントした。

 バウアーは、ポストシーズン進出をめざすコンテンダーから、ノン・コンテンダーへ放出された(トレードされた夜、インディアンズの本拠地では、スタンドで観戦するバウアーが目撃された)。現在、インディアンズはワイルドカード・レースのトップに立っている。一方、レッズは借金9を抱えている。

 この点については、トレードの時点でわかっていたことだ。先月末に「何かとお騒がせの2人を含む計7名が「三角トレード」で移籍。3球団がそれぞれ得た選手とその狙いは…」で書いたとおり、レッズは来シーズンを見据えて、バウアーを獲得した。

 とはいえ、移籍後の成績に関しては、ハッピーとは言い難い。移籍するまでは24先発で防御率3.79だったのが、レッズでは5先発で防御率7.62だ。5イニング未満の降板が3試合あり、8月25日は3イニングで8点を奪われた。8月14日の自責点9とこの日の自責点8は、バウアーのキャリア・ワーストとワースト2位に位置する。レッズへ移るまで、自責点7を超える試合はなかったということだ。

 もっとも、サンプル数は少なく、移籍2登板目と4登板目は、それぞれ7イニングを投げて自責点2以下に抑えた。インディアンズ時代のバウアーは、ナ・リーグ相手のインターリーグを得意としてきた。こちらも十分なサンプル数ではないとはいえ、29登板(28先発)の防御率は2.54。レッズ戦の6登板を除いても、防御率2.62だ。

 バウアーは2012年のオフに、こちらも三角トレードでアリゾナ・ダイヤモンドバックスからインディアンズへ移り、今回のトレードまで在籍した。それに対し、レッズ時代は、ハッピーな結果に終わるかどうかはともかく、短いかもしれない。延長契約を結ばなければ、来シーズン終了とともに、バウアーはFAになる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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