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藍より青し!? 二冠王の息子が長打を量産。デビュー9試合で10本は史上初

宇根夏樹ベースボール・ライター
ボー・ビシェット(トロント・ブルージェイズ)Aug 1, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ボビー・ボンズは、332本塁打&461盗塁を記録し、オールスター・ゲームには3度選ばれた。だが、息子のバリー・ボンズは、それを凌いだ。762本塁打&514盗塁、オールスター・ゲーム選出7度。ゴールドグラブ受賞も、父の3度に対し、息子は8度を数える。ステロイドがなくても、おそらく、息子は父を超えていただろう。

 ボー・ビシェット(トロント・ブルージェイズ)も、そうなるかもしれない(もちろん、ステロイドなしに)。1995年に本塁打と打点の二冠を獲得した、ダンテ・ビシェットの息子だ。7月29日にメジャーデビューしたボーは、2日後の7月31日から7試合続けて二塁打を打ち、その間にホームランも3本放った。記録が判明する1908年以降、デビューから9試合で長打10本に達した選手はいなかった。

 これまで、デビュー9試合の最多長打は、アルビン・デービス(1984年)とトレバー・ストーリー(2016年/コロラド・ロッキーズ)の9本だった。※追記(2019/8/8)【今シーズンの開幕戦にデビューしたピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)も、9試合で長打9本。】1992年に近鉄バファローズでプレーした、あのデービスだ。長打10本を打つのに、デービスは13試合、ストーリーは11試合を要した。

 最初の2試合も、ボーはシングル・ヒットを打っているので、デビューからここまで9試合連続安打だ。チャック・アレノ(1941年)とデビッド・ダール(2016年/ロッキーズ)による、デビューから17試合連続安打の最長記録と比べると、折り返し地点を過ぎたところだが、ボーは打率.415(41打数17安打)と打ちまくっている。

 ちなみに、父のダンテは最初の9試合で打率.313(16打数5安打)。そこに長打はなかった。メジャーリーグに定着したのは、デビューから3シーズン目だ。通算14シーズンで、274本塁打、401二塁打、152盗塁。ボーは8月6日の盗塁がメジャーリーグ初だが、昨シーズンはAAで32盗塁を決めた。

 彼らのドラフト順位は、ダンテが1984年の17巡目・全体424位、ボーは2016年の2巡目・全体66位だ。ボーは父を上回っている。ただ、ボーの兄であるダンテ・ビシェットJr.は、2011年に1巡目・全体51位で指名されて、プロ入りした。ダンテJr.はまだメジャーデビューしておらず、独立リーグを経て、現在はワシントン・ナショナルズ傘下のAAでプレーしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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