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トレード・デッドラインの2日後にトレードが行われ、33歳の外野手が移籍

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブランドン・バーンズ Sep 9, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月31日のトレード・デッドラインが過ぎてから、トレードが行われた。8月2日、ミネソタ・ツインズが、クリーブランド・インディアンズからブランドン・バーンズを獲得した。バーンズを放出したインディアンズは、交換に金銭を得るようだ。

 バーンズは33歳の外野手だ。2012~16年と2018年にメジャーリーグで計484試合に出場し、今シーズンはインディアンズ傘下のAAAでプレーしていた。2013年には、ヒューストン・アストロズのセンターとして、100試合以上に先発出場したこともある。ほぼ、レギュラーだったということだ。この年の7月には、サイクル安打も達成している。

 今シーズンから、トレード・デッドラインは7月末に一本化された。8月以降のトレードはできなくなり、8月31日に存在した「第2のトレード・デッドライン」は消滅した。ただ、これはメジャーリーグのトレード・デッドラインであって、40人ロースターに入っていない選手は該当しない。先日、「一本化されたトレード・デッドラインに「抜け道」はないのか。8月に入っても補強は可能!?」でも書いたとおりだ。

 ツインズには、エディ・ロザリオバイロン・バクストンマックス・ケプラーの外野手3人に加え、内外野を守るスーパー・ユーティリティのマーウィン・ゴンザレスもいる。けれども、バクストンは左肩の亜脱臼により、8月3日に故障者リストへ入った。代わりに昇格したジェイク・ケイブは、7月25日にAAAへ落とされたばかりだ。AAAとメジャーリーグを行き来し、AAAでは48試合で打率.352&7本塁打を記録しているものの、メジャーリーグでは35試合で打率.193&2本塁打と苦戦している。

 バクストンの離脱が長期化し、ケイブが引き続き打てなければ、バーンズがAAAから昇格することもあり得る。ツインズがバーンズを獲得したのは、まさに、そういった場合の「保険」だろう。ロースター枠が広がる9月以降は、バクストンかケイブがいても、バーンズを第5の外野手や代打として使える。AAAの94試合で、バーンズはホームランを24本、二塁打を25本打っている。

 一方、インディアンズは、「何かとお騒がせの2人を含む計7名が「三角トレード」で移籍。3球団がそれぞれ得た選手とその狙いは…」で書いたように、デッドライン前日に2人の外野手、ヤシエル・プイーグフランミル・レイエスを獲得した。これにより、バーンズを保有しておく必要はなくなった。

 もっとも、インディアンズとツインズは同じア・リーグ中地区に属している。インディアンズは3ゲーム差で、首位のツインズを追っている。両チームは、ここからあと10試合――8月に4試合、9月に6試合――で顔を合わせる。インディアンズは、敵に塩を送って、それを後悔することにもなりかねない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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