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最も意外な満塁男!? 通算20本塁打未満の控え選手が「2試合連続グランドスラム」

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイラー・サラディーノ(ミルウォーキー・ブルワーズ) Jul 22, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 スラマディ-ノ。

 ミルウォーキー・ブルワーズは、7月23日のゲーム・ノーツで、こう謳った。内外野を守る控え選手、タイラー・サラディーノのことだ。7月21日と22日に、サラディーノは2試合続けてグランドスラム(満塁本塁打)を打った(写真は2本目)。

 このゲーム・ノーツには、2試合連続グランドスラムは2010年6月12日&13日のホルヘ・ポサダ以来で、ブルワーズでは1987年8月19日&20日のロブ・ディアーに続く2人目、と書いてある。

 ポサダの通算本塁打は275本、ディアーは230本だ(阪神タイガース時代の8本は含んでいない)。2人とも、シーズン30本以上を記録したこともある。グランドスラムも、2試合連続だけでなく、通算10本と5本を数える。

 一方、メジャーリーグ5年目のサラディーノは、昨シーズンまでの通算本塁打が17本。シーズン最多は2016年の8本で、グランドスラムはキャリアを通してなかった。今シーズンのホームランは2本。2試合連続グランドスラム以外は、ソロも2ランも3ランもない。

 ただ、サラディーノが「2試合続けてグランドスラムを打った、最も意外な選手」だとは言いきれない。

 ベースボール・アルマナックによると、2試合連続グランドスラムは、サラディーノが23人目だ。ベーブ・ルースが1927年9月27日&29日と1929年8月6日&7日に記録しているので、延べでは24人目となる。

 19世紀のジミー・バノン(1894年8月6日&7日)とサラディーノを除く21人のうち、3分の2の14人は、通算200本以上のホームランを打った。シーズン20本以上を記録したことのある選手は、彼らの他にも2人いる。そのなかで、デビッド・エクスタイン(2002年4月27日&28日)だけは、通算本塁打が40本に届かず(35本)、二桁のシーズンもなかった。シーズン最多は、サラディーノと同じ8本(2002年と2005年)だ。

 エクスタインの通算5041打数は、現時点のサラディーノの5倍を超える。また、サラディーノはパワーレスではなく、2011年にA+で16本のホームランを打ち、今シーズンもAAAで14本を記録している。エクスタインは、マイナーリーグでもシーズン二桁に達したことがなかった。パワーという点からすると、意外性は、サラディーノよりエクスタインが上だろう。エクスタインは、「Xファクター」というニックネームを持っていた。

 なお、サラディーノのストリークは、他の選手と同じく、2試合で途切れた。7月23日は4度打席に立ち、ホームランが出なかったのみならず、満塁の場面すら皆無だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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