史上13度目の「継投ノーヒッター」は、これまでの12度とは「異質」
7月12日、ロサンゼルス・エンジェルスの2投手が、シアトル・マリナーズを相手にノーヒッターを達成した。最初の2イニングをテイラー・コールが6人で片づけ、続く7イニングをフェリックス・ペーニャが与四球1に封じた。
継投によるノーヒッターは、昨年5月に続き、史上13度目だ。ただ、これまでの12度と今回の継投ノーヒッターには、大きな違いが――7月1日に亡くなったタイラー・スキャッグスを追悼し、エンジェルスの全員が背番号「45」のユニフォームを着ていたこと以外にも――ある。
過去12試合中10試合は、先発投手が5イニング以上を投げた。残る2試合の先発投手は、コールよりも短いイニングで降板したが、これはアクシデントによるものだ。1917年6月23日のベーブ・ルースは、先頭打者を歩かせた直後、球審に暴言を吐いて退場となった(その後、パンチも繰り出した)。2003年6月11日のロイ・オーズワルトは、2イニング目のマウンドに上がったところで、股関節の痛みを訴えて交代した。
それに対し、コールの降板は、最初から予定されていた。「オープナー」として、コールは登板した。
すでに「オープナー」はタンパベイ・レイズの専売特許ではなくなり、いくつものチームに広がっている。「オープナー」とそれに続く投手――呼び方は「バルク・ガイ」「フォロワー」「セカンド・フリンガー」など――による継投ノーヒッターは、その後にミドル・リリーバー、セットアッパー、クローザーらがつなぐ試合も含め、今後も起きる可能性がある。
また、今回のコールとペーニャが逆の順序で登板し、2人で「従来の継投ノーヒッター」を達成することもあり得る。もっとも、その場合は、ペーニャが9イニング中7イニング、コールが2イニングという、今回と同じ「割合」ではなく、それぞれ8イニングと1イニングになるだろう。ペーニャが7イニングを投げた後、コールがセットアッパーとして1イニングを抑えれば、最後のイニングはコールに代わってクローザーが登板するはずだ。