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ドラフト1113位の遊撃手には、日本でプレーした2人の大叔父がいる

宇根夏樹ベースボール・ライター
レイ・デューラム(左)とホゼ・クルーズJr. Aug 19, 1997(写真:ロイター/アフロ)

 ドラフト最終日、トレイ・クルーズは、ワシントン・ナショナルズから37巡目・全体1113位指名を受けた。

 トレイの大叔父2人は、日本プロ野球の経験者だ。トミー・クルーズは1980~85年に日本ハムファイターズ、ヘクター・クルーズは1983年に読売ジャイアンツでプレーした。どちらも、元メジャーリーガーでもある。けれども、トレイについて語る際に、彼らが話題になることは少ない。記事を何本か読んだが、2人の大叔父のことは報じていなかった。

 大叔父2人と同じく、トレイの祖父と父――トミーとヘクターからすると兄と甥――のホゼ・クルーズホゼ・クルーズJr.も、メジャーリーガーだった。それだけでなく、トレイの祖父と父がメジャーリーグで築いたキャリアは、大叔父たちを上回る。ヒューストン・アストロズは、祖父の背番号「25」を欠番としている。また、トミーとヘクターが打ったホームランの合計は、メジャーリーグと日本プロ野球を合わせても、ホゼJr.の204本どころか、ホゼの165本にも届かない。0本+39本+120本+4本=163本だ。

筆者作成
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 2年前のドラフトで、トレイはアストロズから35巡目・全体1051位指名を受けたが、父と同じ道を選び、ライス大へ進学した。叔父のエンリケ・クルーズも、ライス大の出身だ。今年の指名順位は2年前より低く、ナショナルズがその前に指名した35人には、トレイと同じ遊撃手が何人かいるが、メジャーデビューを果たせば、クルーズ家は3世代メジャーリーガーとなる。

 義理の間柄を除くと、3世代メジャーリーガーは、ブーン家(レイ、ボブ、ブレット&アーロン)、ベル家(ガス、バディ、デビッド&マイク)、へアストン家(サミー、ジェリー、ジェリーJr.&スコット)、コールマン家(ジョー、ジョーJr.、ケーシー)の4組しかない。

 なお、ニューヨーク・ヤンキースが37巡目・全体1125位で指名したブライス・ジャービスは、1998年に中日ドラゴンズで4試合に投げたケビン・ジャービスの息子だ。親子が通った大学は異なり、父の指名順位は1991年の21巡目・全体561位だったが、どちらも右投手。父は日本プロ野球を挟み、1994~2006年にメジャーリーグで187試合に登板した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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