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今シーズン最初の監督解任がもうすぐ起きる!? 代わって指揮を執るのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ミッキー・キャラウェイ監督(ニューヨーク・メッツ)May 8, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン最初の監督交代が、もうすぐ起きそうだ。5月20日、ニューヨーク・メッツのブロディ・バン・ワゲネンGMは、試合前の記者会見で「現在、ミッキーはウチの監督だ。今後もミッキーはウチの監督」と語った。ミッキー・キャラウェイ監督が「ホット・シート」に座っていなければ、こうしたコメントは必要ない。「ホット・シート」は暖房便座のことではなく、尻に火がついていることを意味する。

 この時点で、メッツは20勝25敗と負け越し、地区首位まで6.5ゲーム差の3位にいた。5月10~14日の3連勝で20勝20敗の五分に戻したが、そこから5連敗。マイアミ・マーリンズと対戦した5月17~19日の3試合はいずれも敗れ、18日と19日は続けて完封された。2017年9月18~20日を最後に、マーリンズにスウィープされたチームはなかった。ちなみに、前回もメッツが3連敗を喫した。現在、再建中のマーリンズと違い、メッツがめざしているのはポストシーズン進出だ。

 また、メッツでは、ロビンソン・カノーが全力疾走をせず、両踵の手術を受けて出遅れていたヨエニス・セスペデスは、自身の所有する牧場で右足首を骨折した。このまま、シーズン全休の可能性もある。少なくとも、セスペデスの件はキャラウェイ監督の与り知らぬことだが、ゴタゴタが続いているのは確かだ。ここから快進撃をスタートさせない限り、キャラウェイ監督は後半戦を迎えられそうにない。

 キャラウェイ監督は就任2年目、バン・ワゲネンGMは1年目。GMが選んだ監督ではない。

 新たな監督として、nj.comのマイク・ローゼンスタインは数名の候補を挙げている。その筆頭はジョー・ジラルディだ。メッツに在籍したことはないが、選手時代のジラルディは、ニューヨーク・ヤンキースで3度のワールドシリーズ優勝を経験し、2009年には、監督としてヤンキースをワールドチャンピオンに導いた。昨オフは、シンシナティ・レッズとテキサス・レンジャーズの誘いを断ったようだが、監督復帰の意志はあるらしい。ヤフー・スポーツのクリス・スウィックは、5月半ばに「ジョー・ジラルディはブロードキャスティングの仕事を気に入っているが、再び指揮を執りたいという気持ちは強い」と書いている。

 ただ、メッツが監督の仕事を申し出ても、ジラルディが引き受けるかどうかは、微妙なところだ。今シーズンが終わるまで待てば、新監督を必要とする球団は他もあるので、選択肢は広がる。例えば、サンフランシスコ・ジャイアンツのブルース・ボウチー監督は、今シーズン限りで退任する(「名将が今季限りで勇退。通算2000勝に到達できなくても、殿堂入りは間違いなし」)。

 ジラルディでなければ、キャラウェイ監督の後任は、ベンチ・コーチのジム・リグルマンが有力だ。その場合は暫定監督となるはずなので、今オフ、ジラルディの選択肢は狭まらない。

 これまで、リグルマンは5球団で指揮を執ってきた。そのうちの4球団はシーズン途中からだ。昨シーズンはレッズで、4月中旬にベンチ・コーチから暫定監督に。144試合で64勝80敗ながら、最初の90試合は45勝45敗を記録した。これは、レッズの状況からすれば、健闘と言っていい。昨年11月にリグルマンをベンチ・コーチに据えた際、バン・ワゲネンGMはキャラウェイ監督の代役としても考慮していたのだろうか。

 なお、キャラウェイ監督に次ぐ「ホット・シート」にいるのは、ワシントン・ナショナルズのデーブ・マルティネス監督だろう。ナショナルズはナ・リーグ東地区において、メッツとマーリンズの間、4位に位置している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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