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ジャッキー・ロビンソンをはじめ、新人王とMVPを受賞は26人。フレッド・リンとイチローは同年受賞

宇根夏樹ベースボール・ライター
フィラデルフィア・フィリーズ Apr 15, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 例年と同じく、4月15日は全選手が背番号「42」のユニフォームでプレーした。

 72年前の1947年4月15日、ジャッキー・ロビンソンは初めてメジャーリーグの試合に出場した。ロビンソンの背番号「42」は、1997年4月15日に全球団の永久欠番に。その時点で「42」を背負っていた選手は引き続き使用できたが、最後の一人だったマリアーノ・リベラは、2013年を最後にユニフォームを脱いだ。4月15日が「ジャッキー・ロビンソン・デー」になったのは、2004年からだ。

 ロビンソンは、1947年に初代の新人王(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)に選ばれた(1947~48年は両リーグで1名の選出)。この賞(アウォード)は1987年に「ジャッキー・ロビンソン・アウォード」と銘打たれた。

 新人王から2年後に、ロビンソンはリーグMVPも受賞している。新人王とMVPをどちらも手にした選手は、ロビンソンからクリス・ブライアント(シカゴ・カブス)まで、26人を数える。そのうち、フレッド・リンイチローは、同じ年に新人王とMVPに選出された。ドン・ニューカムジャスティン・バーランダー(現ヒューストン・アストロズ)は、MVPと同じ年にサイ・ヤング賞に選ばれている。

筆者作成
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 新人王とMVPを受賞しても、殿堂入りできるとは限らない。現役選手と引退から5年経っていないライアン・ハワードとイチローの計10人を除く16人のうち、6人は殿堂にプラークが飾られていない。とはいえ、オールスター・ゲーム選出は、6人のなかで最も少ないニューカムでも4度(殿堂選手10人の最少も、ジェフ・バグウェルの4度)。殿堂入りに値するキャリアながら、他の理由で阻まれている者もいる。殿堂入りの選考投票にこれからかかる10人を含めても、オールスター・ゲーム選出4度未満は2人だ。ブライアント(2度)はまだメジャーリーグ5年目――4シーズンの半分は選出――なので、実質的にはハワード(3度)しかいない。

 なお、新人王とMVPの両方を受賞の27人目には、同年受賞を別にすると、15人がリーチをかけている。彼らは新人王を受賞し、現在もプレーを続けている。復帰が近づいている大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)も、その一人だ。2011年のナ・リーグ新人王、クレイグ・キンブレルはFAだが、遅くとも6月中旬までに球団は決まるはずだ。

 現時点で27人目に最も近いのは、2017年にナ・リーグ新人王を受賞したコディ・ベリンジャー(ロサンゼルス・ドジャース)だろう。打率.433(67打数29安打)、出塁率.513、長打率.925、9本塁打、23打点は、いずれもリーグ・トップ。4月15日の2打席目に、96マイルの投球を右膝に受けて退場したのは気がかりだが、大事に至らずにこのまま打ち続ければ、MVPが見えてくる。過去の26人のうち、1人目のロビンソンと3人目のニューカムは、ブルックリン・ドジャースの選手として、新人王とMVPを受賞した。つけ加えると、今年はロビンソンの生誕100年に当たる。

 ちなみに、最多のチームは3人だ。シンシナティ・レッズは、フランク・ロビンソン(2度目のMVPはボルティモア・オリオールズ)、ジョニー・ベンチピート・ローズ、サンフランシスコ・ジャイアンツは、ウィリー・メイズ(新人王と最初のMVPを受賞した当時、ジャイアンツの本拠はニューヨーク)、ウィリー・マッコビーバスター・ポージーを輩出した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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