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最も勝負を避けられている打者は、ハーパーではなくそのチームメイト

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイケル・フランコ(左)とリース・ホスキンス Apr 8, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 敬遠四球が最も多い選手は、フィラデルフィア・フィリーズにいる。けれども、それはブライス・ハーパーではない。リース・ホスキンスジーン・セグーラJ.T.リアルミュートとも違う。マイケル・フランコがそうだ。敬遠7四球は両リーグ最多。2位は5度のカルロス・サンタナ(クリーブランド・インディアンズ)で、3位には4度のハーパーとマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)が並ぶ。

 フランコの敬遠四球は、早くも前年の7度に追いついた。昨シーズンは465打席の1.5%だったのに対し、今シーズンは55打席目の12.7%だ。理由は明白。昨シーズンの打順は5~7番が多かったが、チームにハーパー、セグーラ、リアルミュート、アンドルー・マッカッチェンが加わった今シーズンは、開幕から不動の8番打者に。相手チームはフランコを歩かせ、投手と勝負している。

 敬遠四球のシーズン最多は、2004年にバリー・ボンズが記録した120度だ。2位と3位もボンズが占める。2002年は68度、2003年は61度歩かされた。フランコはこのペースでいくと、昨シーズンと同じ465打席なら59~60度となり、すぐ下の4位にランクインする。打席に占める敬遠四球の割合は、2002年と2003年のボンズ(ともに11.1%)を上回るので、2位の可能性もある。今シーズン、フィリーズの投手陣は、打率.036(28打数1安打)と出塁率.069が示すとおり、アウトがほぼ確定している。

筆者作成
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 なお、シーズン打席の50%以上で8番を打った選手では、アドルフォ・フィリップス(1967年)の敬遠29四球が最も多い。8番打者として打席の98.9%(535/541)に立ち、他の打順での敬遠四球はなかった。このシーズン、フィリップスはキャリアベストの出塁率.384を記録した。打率.268と17本塁打もベストながら、出塁率のように前年から跳ね上がったわけではない。1966年は、打率.260、出塁率.346、16本塁打。シーズン終盤までは1番を打っていて、8番に回った9月に3度歩かされるまで、敬遠四球はなかった。

 フランコの出塁率は2015年の.345(335打席)がベストだ。過去3シーズンとも20本塁打以上ながら、出塁率はいずれも.315に届いていない。今シーズンはここまで、打率.250と4本塁打、出塁率.400を記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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