Yahoo!ニュース

「日本帰りの投手」が開幕投手を務めるのは、マイコラスが4人目

宇根夏樹ベースボール・ライター
コルビー・ルイス APR 6, 2012(写真:ロイター/アフロ)

 セントルイス・カーディナルスの開幕投手が、マイルズ・マイコラスに決まった。MLB.comでカーディナルスをカバーするジェニファー・ランガッシュによると、マイク・シールト監督が正式にアナウンスしたという。

 調べたところ、日本プロ野球で投げた後、メジャーリーグで開幕戦に先発した投手は9人いた。両方を経験した投手は20人だが、11人は順序が逆だ。メジャーリーグで開幕投手を務めた後、日本プロ野球へやってきた。

 また、9人のうち、野茂英雄をはじめとする日本人投手5人とウェイン・チェン(マイアミ・マーリンズ)は、プロのキャリアを日本プロ野球からスタートさせている。日本プロ野球からメジャーリーグへ戻った「日本帰りのメジャーリーガー」として、開幕戦の先発マウンドに立つのは、1992年のビル・ガリクソン(デトロイト・タイガース)、2002年のケビン・ジャービス(サンディエゴ・パドレス)、2012年のコルビー・ルイス(テキサス・レンジャーズ)に続き、マイコラスが4人目となる。

筆者作成
筆者作成

 ガリクソンとルイスがメジャーリーグで開幕戦に投げたのは、復帰3年目だ。ジャービスは4年目だった。日本から戻ったばかりの投手に開幕戦を任せることは考えにくく、マイコラスの復帰2年目は、今後も最短記録として残る可能性が高い。

 カーディナルスでは、過去2年続けて開幕戦に投げたカルロス・マルティネスが、肩の故障で出遅れている。とはいえ、昨シーズンの投球からすれば、マイコラスの開幕投手はマルティネスの代役ではなく、妥当な選出だろう。カーディナルスには、開幕投手を5度務めたアダム・ウェインライトもいるが、昨シーズンは8試合しか投げておらず、年齢は37歳だ。昨年10月にカーディナルスと交わした再契約には、先発とリリーフ、それぞれの登板数に応じたパフォーマンス・ボーナス(出来高)がついている。これは、ローテーションに残れないかもしれないということだ。

 3月28日、マイコラスはミラー・パークのマウンドに上がる。昨シーズンはミルウォーキー・ブルワーズを相手に4登板して防御率4.01ながら、最初の2試合――シーズン最初の2登板ともブルワーズ戦だった――は4点ずつ失ったのに対し、6月は7回途中まで投げて2失点、8月は6イニングを1失点に抑えた。結果は3勝0敗(チームは3勝1敗)だ。

 ちなみに、これまでの「日本帰りの開幕投手」のなかで、白星を手にしたのはルイスだけだ。ガリクソンとジャービスは敗戦投手となった。3人ともクオリティ・スタートを記録したものの、ガリクソンとジャービスの試合では対戦チームの投手が完投した。相手はそれぞれ、ジャック・モリスランディ・ジョンソンだった。

 マイコラスにとって、開幕投手は初めてではない。ルイスが2009年に広島東洋カープで開幕投手を務めたのと同じように、マイコラスも2017年に読売ジャイアンツで開幕戦に登板した。この時は、どちらも白星を挙げている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事