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懸命にプレーするのはFAイヤーだけで、ドジャース時代はそうではなかった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヤシエル・プイーグ Sep 29, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズンが終わると、ヤシエル・プイーグ(シンシナティ・レッズ)はFAになる。シンシナティ・インクワイラーのジョン・フェイが書いた記事のなかで、プイーグはこう語っている。「過去数年、俺は懸命にプレーしていなかった。次の契約はまだ先だったから。これから、どの年よりも懸命にやるつもりさ」

 昨年12月にトレードされるまで、プイーグはロサンゼルス・ドジャースにいた。通算6シーズン(2013~18年)のOPSは.831。このスパンに2500打席以上の142選手中、29位に位置する。アップダウンはあったものの、過去2シーズンはいずれも、20本塁打&15盗塁&OPS.820以上だ。「ワイルド・ホース(野生馬)」のニックネームどおり、そのプレーは攻守とも、数値以上に印象深かった。とても、懸命でなかったとは思えない。

 これまでよりも懸命にプレーし、それが空回りしなければ、どんな活躍をするのか。移籍直後に歓迎のツイートを発したシンシナティ動物園ならずとも、プレーを観るのが待ち遠しい。レッズのチームカラーは、プイーグがかつてプレーしたキューバ代表と同じ赤だ。

 ただ、プイーグの発言は、自身の首を絞めることになりかねない。たとえ、今シーズンの成績が素晴らしくても、FAとなるシーズンだけ懸命にプレーする選手に対し、長期契約を申し出る球団は現れるだろうか。

 馬の鼻先に人参をぶら下げるように、シーズンごとにインセンティブ(出来高)を設定すればいいのかもしれないが……。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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