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本塁打王に加え、奇跡のストリークも継続。4年続けて打率はぴったり同じ

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリス・デービス(オークランド・アスレティックス)Jun 28, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ボルティモア・オリオールズのクリス・デービスと同じく、オークランド・アスレティックスのクリス・デービスもパワー・ヒッターだ。後者のデービスは、ここ3年とも40本塁打&100打点をクリア。今シーズンは48本塁打を放ち、初めてタイトルを獲得した。

 ただ、8月に「3年連続40本塁打&100打点に迫る、もう一人の「クラッシュ・デービス」が初タイトルを獲得する!?」で書いたとおり、3年連続40本塁打&100打点は、過去にも達成した選手がいる。ベーブ・ルースは1926年から1932年まで、このストリークを7年続けた。

 一方、デービスが継続している、これとは別のストリークは、前人未到だ。2015年、2016年、2017年、2018年の打率はすべて同じ。4年続けて.247を記録した。2015年は440打席で規定打席に届かなかったが、過去3年はいずれも600打席を上回っている。イライアス・スポーツ・ビューローによると、4年連続で小数点第3位まで同じ打率は、各シーズンとも10打数以上の選手では、デービス以外にいないという。

 ちなみに、私がこのストリークについて知ったのは、レギュラーシーズンが終わる直前だった。ツイッターに「クリス・デービスが今年も打率.247になりそう。」というメッセージをいただいた(感謝!)。

 レギュラーシーズンの最終戦に出場したデービスは、センターフライと三振に倒れ、3打席目は代打を送られた。もし、2打数0安打でなく、2打数1安打や3打数0安打であれば、打率.247のストリークは途切れていた。20通り(5打数以内)の結果のうち、打率が.247となるのは、1打数0安打と2打数0安打、4打数1安打と5打数1安打の4通りだった。3打数なら、安打数にかかわらず、打率.247にはならなかった。

筆者作成
筆者作成

 今から10年前には、アダム・ダンが似たような――内容や価値はまったく異なる――ストリークを記録している。2005年から2008年まで、どのシーズンも40本ずつ、ホームランを打った。こちらは、4年続けて同じ本数のなかでは、最も多い。ダンの場合、2009年は38本塁打(2010年も38本)にとどまり、ストリークを5年連続に伸ばすことはできなかった。

 デービスのストリークは、来シーズンも続くだろうか。10月3日のワイルドカード・ゲームで、デービスは打率.250(4打数1安打)を記録した。これは、1試合の打率としては.247に最も近い数値だ。アスレティックスはデービスのホームランによる2点しか挙げられず、ニューヨーク・ヤンキースに敗れ、ポストシーズンから姿を消した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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