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「ダーク・ナイト」を巡る謎。獲得するミステリー・チームはどこだ

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・ハービー(シンシナティ・レッズ)Aug 4, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 トレードから4ヵ月経たないうちに、マット・ハービー(シンシナティ・レッズ)は、再び移籍するのだろうか。

 8月22日、ジ・アスレティックのロバート・マリーは、レッズがウェーバーにかけたハービーに対し、獲得の名乗りを上げる球団があったとツイートした(Twitter link)。数時間後、同じくジ・アスレティックのパトリック・ムーニーは、こちらもツイッターで、その球団はシカゴ・カブスではないと報じた(Twitter link)。

 5月上旬にニューヨーク・メッツから移籍後、ハービーは17試合に先発して防御率4.28を記録している。ゴッサム・シティのモデルがニューヨークであることから、バットマンになぞらえて「ダーク・ナイト」と称された当時ほどではないものの、先発投手が必要な球団にはフィットする。

 加えて、シーズンが終わると、ハービーはFAになる。獲得する球団からすれば、残りの契約が負担となる懸念は生じない。獲得後に支払う額も、150万ドル程度で済む。

 レッズにしても、ハービーをウェーバーから引っ込め、とどめておく理由はなさそうだ。5月のトレードにより、ハービーはクオリファイング・オファーの対象から外れている。また、来シーズンもいてほしいと思ったとしても、放出していくらかの見返りを得た後、オフにFAとなったハービーと契約すればいい。

 ハービーを獲得する可能性が高いのは、ミルウォーキー・ブルワーズかセントルイス・カーディナルスだろう。この両チームであれば、交渉権はブルワーズが得る。カブスではないとの報道は、獲得に乗り出したものの、交渉権を逃したということかもしれない。カブスの勝率は、ナ・リーグで最も高い。

 ウェーバー公示された選手に対し、複数の球団が獲得を申し出た場合、交渉権を得るのは1球団だけだ。優先順位は、ウェーバーにかけた球団と同じリーグの球団が高く、そのなかで、より勝率の低い球団が上に位置する。

 ハービーは、8月24日の登板が予定されている。交渉期限の48時間に達するのが、試合前なのか試合後なのか、あるいは試合中になりそうなのかははっきりしないが、試合前に移籍が決まれば、当然ながら投げることはない。ちなみに、この試合の対戦相手はカブスだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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