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三冠王を阻むのはチームメイト!? 本塁打と打点は1位、打率は2位

宇根夏樹ベースボール・ライター
ムーキー・ベッツ(左)とJ.D.マルティネス Jun 22, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 J.D.マルティネス(ボストン・レッドソックス)は、三冠王に近い位置にいる。打率.331はリーグ2位、38本塁打と106打点は1位。J.D.の上にいるのは、チームメイトのムーキー・ベッツだけだ。ベッツは打率.343を記録していて、J.D.は12ポイント(1分2厘)差をつけられているが、逆転は不可能ではない。前半戦が終わった時点では、31ポイント(.359‐.328)の開きがあった。

 レッドソックスは、あと37試合を残している。ここまでのJ.D.は1試合平均3.81打数、ベッツは3.91打数なので、2人ともこのままのペースだとすると、それぞれ141打数と145打数となる(小数点第1位を四捨五入)。例えば、J.D.が141打数48安打(打率.340)、ベッツが145打数44安打(打率.303)であれば、最終的な打率はどちらも.333ながら、.3333と.3327でJ.D.が上回る。

 J.D.が三冠王を獲得すれば、2012年のミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)以来。異説はあるが、ベースボール・リファレンスに従えば、史上16人目(18度目)となる。レッドソックスでは、テッド・ウィリアムズ(1942、1947年)とカール・ヤストレムスキ(1967年)が獲得している。

 一方、J.D.がこのまま本塁打と打点のタイトルを手にし、ベッツが首位打者なら、同じチームに3部門のタイトル・ホルダーが揃う。三冠王を除くと、これは15度目となる。直近では、2016年のコロラド・ロッキーズがそうだった。ノーラン・アレナードが本塁打(1位タイ)と打点の二冠を得て、D.J.ラメイヒューが首位打者を獲得した(「首位打者を獲得したければ、デンバーへ行こう!」)。

 もっとも、この年のアレナードは打率3割に届かず、三冠王に迫ったわけではなかった。惜しかったのは、1905年のサイ・シーモアだ。打率.377と121打点はリーグ1位、8本塁打は2位。シンシナティ・レッズでともに外野を守ったフレッド・オドウェルに、1本及ばなかった。2人はあと2試合を残し、8本塁打で並んでいた。なお、過去の14度には、チームメイトの3人が、打率、本塁打、打点のタイトルをそれぞれ手にした4度を含んでいる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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