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意外な打者が作った史上初の記録は、もしかすると成長の証?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルーグネッド・オドーア(テキサス・レンジャーズ)Jul 28, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月2日の試合で、ルーグネッド・オドーア(テキサス・レンジャーズ)は1打席目から続けて4四球を選び、ホームランを挟んで、6打席も四球を記録した。

 ESPNスタッツ&インフォなどによると、1900年以降、1試合に「1本塁打&5四球」は史上4人目だという。他の3人は、ハンク・アーロンマーク・マグワイアエドガー・マルティネスだ。4人のうち、敬遠四球を含んでいないのはオドーアだけ。この点では史上初となる。ベースボール・リファレンスを使って調べたところ、アーロンは1972年7月11日、マグワイアは1997年4月26日、エドガーは2004年6月24日に記録している。それぞれの敬遠四球は、2度、3度、1度だった。

 しかも、3人とも延長戦の打席を含めなければ「1本塁打&5四球」にはならない。それに対し、オドーアの試合は9回表に終わった。9イニング以下で記録したのも、史上初ということだ。オドーアの6打席は、4人のなかで最も少なかった。アーロンは8打席、マグワイアは7打席、エドガーは9打席。本塁打と四球以外の打席がなかったのは、オドーアだけだ。

 それにしても、オドーアがこの記録を作ったのは意外な気がする。パワーはあり、過去2年とも30本以上のホームランを打っている。ただ、四球は極めて少なく、昨シーズンの32がキャリアハイだ。今シーズンはこれまでより四球率を上昇させているとはいえ、前日の時点では22四球に過ぎなかった。ボール球を振る割合や1打席当たりに投げさせる球数は、それほど大きく変わっていない。

 四球の5打席とも初球はボールで、最初の2打席はカウント3-0となり、2打席目は4球目もボールだった。「1本塁打&5四球」の記録を生んだ――は言いすぎにしても、主な要因となった――のは、オドーア自身よりも、対戦したボルティモア・オリオールズの投手たちかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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